竹取物語19
『クエストMAP竹取物語・第一階層が生成されました』
二人のポケットから携帯が勝手に宙に浮きだしてアナウンスを流しだす。
『クエスト制限の制限以上の装備は自動で解除されます』
静音の腰に、ホルスターと新しい銃が出現する。緋色のジャケットに袖を通してホルスターから銃を抜き出した。
真司の前にも木の盾とこん棒が浮かび上がる。真司は盾を腕に巻きつけてこん棒を手に取った。
(武器が武器だからしまらねえ・・・)
げんなりした表情で真司は武器を構えた。
「さっそくお出ましね」
静音と真司の前、花穂の後ろでモンスターが出現する。
「あれは・・・ウッドマン!」
そこにいたのはまさに人面樹だ。根っこを足に、枝を腕にした木が何体も出現する。
「始まったのですか!?」
花穂はその場から飛び退くと、真司たちの横に並んだ。
「そういうことだね。まずは屋上から片付ける!」
真司は先陣をきり、走りこんでいく。
「コンセントレーション!」
言うが早い、静音は銃の引き金を引いてウッドマンに銃弾を浴びせた。
「・・・2発か・・・厄介ね」
「水龍神!招来!」
花穂は先日見た水の龍を呼び出すと、それを真司の横に走らせてウッドマンに体当たりを仕掛けた。
真司より早くたどり着いたその水の龍が植物の化け物をまとめて吹き飛ばす。
「・・・これはすごいな」
吹き飛ばしただけで破壊するのには至っていない、だがダメージはあったようだ。後方に飛ばされたウッドマン達は、静音の弾丸を1発受けると悉く絶命していく。例外を除いて。
「なんか固いのが1匹いるわ!」
真司が静音の声に目を向ける。
(あいつか)
よく見ると頭(?)の部分に桃をぶら下げたウッドマンがいた。
「あいつがクエストアイテムを落とす!絶対に仕留めてくれ!」
言うが早い、静音の銃弾が何発もその個体に突き刺さる。
その個体は、静音の元にたどり着くことなく地面に倒れ消えて行った。
「まだ出てきています!油断なされるな!」
真司の耳に花穂の声が届いた。真司達の上がってきた階段の方からウッドマンの群れが顔を出してきている。
「この広さなら、突破出来ないだろ?」
真司はウッドマンの群れの前に立つと、その胴体にこん棒を叩き込んだ!
「即死とはいかないか」
静音と同様に何回か殴らないといけないようだ。真司は2度、3度とこん棒を振るって、敵の進行を止めつつ数を減らしていった。
「開けてください!」
ふと、後ろから声がかかる。
真司はその場で地面に伏せると、自分の上に水の龍が通過していくのを感じていた。
真司の前のウッドマン達が倒れている。真司は1匹1匹に上からこん棒を叩き込んで、始末していった。
桃の枝を持った個体はこの中にはいなかった。
「ここの連中は倒しきったか。中に入る?」
「ええ」
『バリンッ!』
真司は自動ドアの横の窓をこん棒で叩き壊すと、ガラスの破片を地面に落とした。
「ちょっと!お待ちください導師様!」
花穂から声がかかる。
『?』
その声に二人して振り向く
「―――っ」
静音の顔を見るや否や、花穂の顔が茹で上がっていく。
「こら!照れるんじゃないわよ!」
静音の顔も赤くなる。
「いえ、ですが・・・その。はじめてだったもので・・・」
「私もよ!うっとうしいわね!」
両手で頬を抑える花穂に静音が文句を言う。
「あー、なんかすいません」
いたたまれない気分になる真司がそこにはいたのだった。
あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。




