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竹取物語12

 爆発が落ち着くと、あたりには巻き上げられた砂埃のせいで視界が一気に悪くなっていた。


「・・・・・」

「・・・・・・・・」

「背中が・・・あっちい・・・ヒール」


 真司のワイシャツは背中の部分がほぼなくなっていた。億劫になり、それを破り脱ぎながら自分に回復魔法をかける。


「ケツは無事か」


 お尻を触りながらズボンが破れてないことを神に感謝。


「・・・・・祈り」


 静かに呟く。真司の体から青白い光が発せられている。

 あの爆発はフレイムラットのスキルだ。フレイムラット自身がどうこうなっているわけではない。

 土煙の向こう側からうっすらと巨大な影が動いているのが見える。


「二人とも、オレの後ろに」


 二人に言った言葉に、最初に反応したのはフレイムラットだ。こちらに気付いた。

 瞬間、真司にフレイムラットが飛びかかってきた!


「・・・・・・・・・・・・・ホーリーインパクト」


 真司の手に持ったこん棒から、強烈な光が放射された!

 真司を中心に土煙が吹き飛ばされ、フレイムラットははるか後方に体を吹き飛ばされて・・・霧散した。


『クエストボス、火鼠の討伐が達成されました。スキルと装備レベルの制限がすべて緩和されます。クエスト報酬欄よりアイテムをお受け取り下さい』


 次の瞬間、スマートフォンからアナウンスがあった。






 真司は携帯をから出るウィンドウを操作して報酬を受け取った。


『クエストアイテム、火鼠の衣を入手しました。このまま献上しますか?』

「はいっと」


 ウィンドウから火鼠の衣が出現。光に包まれるとそのまま上昇してエンブレムへと吸い込まれていった。


「・・・ちょうどいいものがでたな」


 クエスト報酬のほかに、討伐報酬のアイテム『ファイヤカノン』が出ていた。アイテム化せずに、エンブレムを見つめる。

 真司の献上したアイテムがエンブレムの中に完全に吸い込まれると、クリスタル化されている部分の黒い靄がいくらか和らいだように見えた。


『竹取物語クエストをクリアしました』


 簡素なアナウンスと共に終了が告げられる。

 さすがに1個クエストをクリアした程度では浄化しきれないようだが、真司の顔は満ち足りた表情をしていた。

 達成感が強かった。


「終わったよ?」

「・・・」

「・・・・・・・・・」


 地面に座り込んだ二人が、顔を赤らめて視線をさげていた。


「大丈夫?平気?」

「平気?じゃないわよ!このばかぁ・・・・」


 涙ぐんだ顔を上げて静音が怒りの声を上げた。後半弱めで。


「もうちょっと・・・助け方ってもんがあるでしょうが!なんで私が・・・なんで、なんで・・・」


 ダメージが残ってたのか?と真司は思い手をかざそうとすると。


「なんで私が見ず知らずの女と!キ・・・・き・・・キスしなきゃいけないのよー!」

「・・・・・はい?」

「だから!あんたが!この女と飛び込んできて!ぶちゅって!」


 見ると、巫女装束の女性がちらちらと静音の方を見ている。


「あんたも顔赤らめてるんじゃないわよ!」

「え、はい!いえ、それは・・・」


 地べたに座り込みながら、心ここにあらずといった感じで呆ける巫女装束の女に怒鳴りながら静音は立ち上がった。


「・・・・むう。不満しかないけど、まあいいわ。さて、逃げましょ」

「えっと?・・・いいの?」


 爆心地から離れていたからか、怪我の度合いはあれど自衛官達は無事のようだ。この分なら後方にいた警察官たちも平気だろう。


「どう控えめに見ても私は銃刀法違反だもん。それに今の状況説明しろって言われて、あんたに出来るの?」

「・・・無理だね」

「そういうこと。下手に時間とられるのも嫌。それに早く逃げないとクエストMAPも消えるわよ?そしたら私たちの能力も使えなくなるしね」

「マジ?」

「マジよ。3回目って言ったでしょ?」

「そうなんだ」


 静音はウィンドウを操作してクエストを完了させると、アイテムを入手した。


「これ着て。あんた裸同然じゃない」


 フレイムラットのドロップアイテムだ。フレイムジャケットは火属性の攻撃に耐性のある防具である。


「それは柊さんが使って。防御力あがるから。オレが一度でも装備しちゃうと人に返せなくなるから」

「そう・・・じゃあ。これ、ありがとボロボロだけど」


 一度貸した真司のブレザーを脱いで、自分はジャケットを着る。


「OK,じゃあオレからはこれ」


 先ほど入手した銃を静音に渡して、真司はブレザーを・・・ボロボロだったので羽織った。


「銃!ファイヤカノンって言うのね」

「普通の弾丸でも火属性が乗る装備だよ。オレは装備出来ないからあげるね」

「なんか悪いわね、ポーションだけでも・・・」

「いらないよ。あげるって」

「そう?それじゃあありがたく」

「あ、あなたがたは一体・・・」


 硬直していた女の子もさすがに回復したようだ。主に精神的に。


「あんたもサフィーで復活したんでしょ?」

「サフィー?私は公安の人間ですけど・・・あなたたちは民間の魔導師ですよね?」

「民間の?」

「男性であれだけの魔術を行使できるなんて。しかもさっきの攻撃魔術に、私たちを回復させた回復魔術に高速移動。お若いように見えますが、かなりご高名な方だと・・・申し訳ありませんが、お名前を頂戴できませんでしょうか」

「公安って・・・?」

「はい、ご挨拶が遅れました。私は国家公安委員会第0課、四条花穂巡査です」


 袖から警察手帳を取り出して敬礼をする花穂。

 真司はあっけにとられて、静音は目を見開いている。


「けいさつかん?」

「はい!婦警さんです」


 笑顔で敬礼をしたまま、花穂が挨拶をした。


「えっと・・・オレは・・・」

「姉さん!」


 車列の奥からまた一人降りてきた、こちらの少年・・・とは言うものの真司たちよりは年上のような印象だが。


「無事?あんな無茶をして!大体あの爆発は・・・」


 少年が花穂の肩に手をかけて問い詰めようとした瞬間に、真司の服が後ろから引っ張られた。軽く破れた。


「逃げるわよ?」

「・・・・了解」


 真司は静音の手を取ると、目線を上にあげた。

 手を握られた静音は少し照れていたが、真司は気付かなかった。


「テレポ」

あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。

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