竹取物語1
「くそっ、何なんだよ!ほんと!!」
眼鏡をかけた学生服の少年は息も絶え絶えに住宅街の中を走り回っていた。
ついさっきまで商店街をぶらついてただけだったのに、気がついたらそこは惨状になっていた。
関節をギチギチと擦らせながら、這いずり回る人骨。
数は少年の目に映る範囲の中だけでも20体以上。
それが突如、何の音もなく現れて人々を襲い始めたのだった、
人骨は何も言わずただただ逃げ惑う人々を追いかけ、手に持っている両刃の剣や鈍器・斧などで命を奪っていった。
悲鳴を聞いて何事かとお店から顔を出した人たちも皆、同様の末路をたどって行った。
少年もそんな中の一人だった。
「はっ、はっ、はっ・・・」
訳もわからず駆け出して、運よく近くの人間が先に殺された為その場から駆け出すことができたが・・・・。
後ろを振り返ると、少年を追いかけてくる人骨が複数。
「くっそ!」
人骨は足こそ速くないが、いかんせん数が多い。少年が闇雲に走り回ると、逃げ込んだ先に人骨がいたりして徐々に数が増えていった。
「またか!どうすりゃ・・・」
そして少年の足は決して速くない。決して体力がある訳でもない。
どこかでやり過ごそうにも、後ろから迫ってくる人骨を振り払わなければならないのだった。
「うわっ!」
曲がり角を曲がった先には更に人骨が5体ほど。足元には小さな男の子の亡骸が二つ、血まみれになって倒れ伏していた。人骨の群れのさらに後ろから、誰かが走って来るのも見える。
「うっ・・・」
嘔吐感が少年を襲ったがそれどころではない、瞳のない空洞が少年を捕えていた。
「っ!」
直後、少年の頭に強い衝撃が走った。
激痛を感じる間もなく、倒れる前に少年の意識は途絶えた。
その直前に何か聞こえたような気もしたが、少年は認識することもできずここに生涯を終える・・・・終えるはずだった。
『ダン!ダンダンダン!』
けたたましい銃声の乱射を身に纏いながら、銀髪の少女は人骨を葬っていた。
「このっ!」
接近してくるものから順番に、時には人を襲おうとしている人骨の頭をその手に持ったハンドガンで打ち抜きながら少女は走っていた。
人骨の群れは、少女を認識すると即座に武器を構えて襲いかかる!
それを見た少女は、逆に銃をホルスターにしまい叫んだ!
「クイックドロー!」
しまったばかりの銃を早抜きして、再度引き金を振り絞る。
先ほどよりも早く、より早く。
弾が切れるや否や、コンマ数秒の世界でマガジンを取り換え更に引き金を振り絞る。
少女の放った銃弾はどれもみな、人骨の頭部を襲う。
牽制も行わず、愚直に頭部を破壊し続けていた。
「!」
しかし、数が多い。
少女は徐々に後退しながらも、敵を撃つことをやめない。
少女が撃ち殺した人骨はみな、頭部だけでなく体もバラバラになり地面へと吸い込まれていく。
不意に、彼女の後ろから人骨があふれ出した。
囲まれる!少女は瞬間的にそう認識すると叫んだ。
「コンセントレーション!」
少女の後ろから襲いかかってきた人骨が剣を振り下ろす!
少女は軽やかな動きで回避すると、即座に銃のマガジンを交換。
至近距離からの発砲。
人骨の頭部に丸い穴が1つ増える。
そして人骨は音を立てて、地面に崩れ落ち・・・消えた。
「建物の中に入って扉を閉めて!こいつらはドアを開けられない!窓も全部しめて!」
まだ人がいるかわからないが、少女が叫ぶ。
不意にドアやシャッターが閉まる音がそこかしこから聞こえてきた。
(よし!)
少女はなおも襲いかかる人骨の群れを掃討しながら動き回った。時には肉薄する剣や斧を紙一重で回避し。時には背中から切られ、前から刺され、四方から襲われても攻撃の手を緩めずに人骨を片付けていった。
あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。