段々不穏になっていく
どうやら道中何度もあった火花はケステェアが敵を倒している時に出来る副産物らしい。思えば相当数の火花に僕は道案内的にも命的にも救われてきたわけだ。ありがたい。しかしありがたいことだらけではない。僕のレベルがまだ1から動いていない。ステ振りすら出来ない。なぜケステェアはぽんぽん上がるのに、僕のレベルは上がらないのか。差別か?種族差別か?顔面偏差値が低いほうがなんとなくレベリングに有利なのか?
今はケステェアがいるから構わないけれど、もし分断されてしまった場合、僕が大変だ。今だけでも顔をタコ殴りにしてLv13のケステェアをタコ殴りにしてレベルをガン上げしようと思ったところで、やけに不穏な空気を感じた。それは洞窟の奥から感じ取れる。
不穏も不穏、不穏に不穏の重ね着をした十二単みたいな不穏さだ。先程のサイコパス的思考もそのせいだろう。背後にいるケステェアも心なしか不穏だ。そわそわしてコポコポ言っている。少し甲高いコポコポだから恐れが含まれているんだろう。
正直お得意のムーンウォークで来た道を戻りたい気分だが前の分岐路までは遠いし、こっの道とは別の方の道のには踏んだら罠が発動しそうな変に出張った周りと色調の違う人工物っぽい岩が無数にあったり、その少し先に道を埋め尽くす程の大きな丸い岩があったりしたから出来れば別の道は通りたくない。そもそも火花だけでそこまで視認出来たんだから恐らくそれ以上の罠が仕掛けられているんだろう。伸び代MAXの罠マシマシの道なんてごめんだ。この道を抜けるしかないんだろう。
ケステェアに目配せをし、先を歩かせながらゆっくりと進んでいった。一歩一歩確認するように、しっかりと。
刹那、唸り声が聞こえる。エンカウントだ。