卒業式に泣かない私と
卒業式で泣かない私はきっと
泣くだけのものを得られなかったからなのだ
ここから去りたくないのだと
涙をぽろぽろ流しながら
こころをこぼす人をみて
その甘辛い水には
感情があふれきるような
かかえてもかかえてもこぼしてしまうような想いが
人と触れあい、笑い、喜び、主張し、衝突し、
そうしてこころをうごかすような
泣かないではいられないような
どうにもならなく打ち震える感動が
つまっているのではないのかと、おもった
取りこぼしてきたのか
その芽を手折ってきたのか
私にはない涙を持つ人を見て
苦味がはしり、俯き気味に唇をかむ
別れの際に泣く人の方が、それだけの人間関係を作れた人で、次の場所でも友達が多くできるという話を思い出しつつかいた。