力強い背中
ふんわりと軽く足をたわめたタマ様は、誰よりも早くズガガに向かい躍り掛かりました。
その背を追うように美形の魔族が一つ舌打ちをすると声を張ります。
「陣を整えよ!哄笑に備え魔法陣を編め!」
そういうと美形の魔族自身は夜闇に溶ける黒い翼を広げタマ様を追いました。
続いて剣士さんと魔術師さんも攻撃に転じます。
一度にあわただしくなったこちらの陣営をズガガは見下していました。
すっかり熱のないその視線がことのんに一瞬向きましたがすぐにそらされました。
大きく開けた口に並ぶナイフのような牙。
続いて放たれたのはあの忌々しい哄笑ではなく、巨大な魔力をただぶつけるだけの攻撃でした。
単純でありながら強力なそれは剣士さんと魔術師さんに後退を余儀なくさせました。
魔力が少ないが故に魔力の影響を受けやすいことのんは、全力で走る馬にひかれたように弾き飛ばされ魔術師さんの魔法で受け止められました。
そんな中、なおも前に進み続けるものがありました。
タマ様とあの美形の魔族です。
魔法というものは受ける側が持っている魔力が多いほど抵抗力となります。
ズガガの魔力をものともしない一匹と一人はいったいどれほどの魔力をもっているのでしょうか。
見やすいようにスペースを加えてみました。