巨悪を前に人は一致団結する
魔王にさらわれた王女様を救うため、旅にでた勇者ことのん。
その途中、カラントリアの町で復活してしまったズガガを倒すため世界が手放しで認める美形猫のタマ様とともに美形の魔族の手を取りました。
恐ろしいズガガを倒すために集まったのは互いにいがみ合っていた人間と魔族の混合軍でした。
それはまるで伝説の再現のような光景です。
熱気が渦巻く軍隊の前で、転移の魔法陣に酔ってしまったことのんは思わずしゃがみ込みました。
テンションのあがっていく軍隊を無視して吐き気を耐えていると、両側から肩を叩かれました。
手の当てられた肩がじんわりと心地よい熱を持ち、気持ち悪さが退いていきます。
ことのんが顔を上げるとそこにいたのは剣士さんと魔術師さん。
彼女たちが人間の軍隊を連れてきたようです。
ズガガはすべてのものにとって共通の倒すべき巨悪。
しかし王女様を魔王にさらわれたのに今協力する理由は何でしょうか。
考えたところでことのんはしょせん宿屋の娘。
そういった外交的なことはさっぱりです。
首を振ってことのんは立ち上がります。
ズガガ退治は足がふるえるほど怖いです。
それでも真っ直ぐ空を見上げ、美形の魔族の音頭とともに声を上げました。