銀色のロケットの中身
美形の魔族がロケットをタマ様の前へ差し出します。
タマ様が小さくにゃおんと鳴くと、カチリと音がしてロケットが開きました。
その中から現れたのは朝露のような光でした。
蛍のようにふらふらと室内に漂っていたかと思うと、ことのんの目の前で矢印となりここではないどこかを指し示します。
ゆらゆらと陽炎のように揺れるもののその先はズレません。
この先にズガガがいるのでしょう。
「道は決まった。後は進むだけだ。タマ殿、私も同伴しよう。今回だけは私はおとなしく前座に甘んじよう」
膝をつきそういった美形の魔族にタマ様は静かに目礼をしました。
「準備は整った。決着といこうか。かつて封じることしかできなかった災厄を今日、我々の手で」
大仰な動作で美形の魔族が腕を広げます。
部屋いっぱいに広がったのは転移の魔法陣。
タマ様と美形の魔族とともに飛ばされたことのんの前にあったのは、人間と魔族の魔術師で構成された混合軍でした。
掲げる旗は3本。
ズガガを倒す少年と人間の旗と、魔族の旗。
「歴史は今日変わる。魔族はすべからく隣人たる人類と戦友となるだろう」
高く腕を上げる美形の魔族が声高にそう宣誓すると、地震のような歓声が上がったのでした。