キッチンでつまみ食い
タマ様についてきたはずなのにタマ様と離れてしまった勇者ことのん。
美形の魔族が食事でもと誘うのでヒョコヒョコついて行くことにしました。
てっきり食堂か何かに連れて行かれるのかと思えば着いたのは厨房。
働いていた魔族の方がことのんと隣に立つ傲岸不遜な美形の魔族を凝視しています。
「何でこんなとこにいらっしゃるんですか!?」
慌てて走り寄ってきたチーフコック。
「腹が減ったんだ」
「そりゃね!もうすぐ晩餐ですからね!今準備してんでしょーが!我慢できない男なんて嫌われますよ!ねえ、勇者さん?」
そのタイミングで話を振らないで欲しいとことのんは思いました。
チーフコックと美形の魔族が目だけで早く答えろと訴えてきます。
ふむ、とちょっと考えて男のわがままは多少みっともないと結論しました。
ましてそれがいかにも肉食なワイルド系の美形で内容が子供じみているのです。
ポポロンの町でであった末娘さんのような可憐な女の子なら許せますが、この美形の魔族では残念でしかありません。
「ほら見たことか!もう数刻もしないうちにできますから。クラッカーを差し上げるんで摘んでてください」
そう言って小さなかごを渡された姿はやっぱり残念でした。