青天の霹靂
会長様が扇動した民衆を領主様が取り仕切ります。
やる気はあっても所詮民衆では戦えません。
老人や子供たちが屋敷の地下通路へ移動しているのを眺めながらことのんは天を仰ぎました。
澄んだような青空。
そこだけ見ればズガガが復活したなど質の悪い冗談にしか思えません。
ぱちくりとことのんは瞬きをしました。
上空に浮かぶ黒い点。
それはすさまじい速度で墜ちてきます。
ズガガだ!と剣士さんが叫びます。
魔術師さんが両腕を振り払い展開する防御魔法。
上空より落下してきたズガガは防御魔法すれすれで滞空するとその特徴的な叫びを上げました。
キッとズガガを睨み上げる会長様。
傍らに控えたタマ様も深く身構えています。
「ここは生き物の世界。儚きものの世だ!永久を生きる恐怖よ、退くがいい!お前の生きる世界はここにはない!」
魂を揺さぶるような領主様の怒号。
民衆からあがる賛同の声。
しかし避難の嵐ではズガガに何のダメージも与えることができません。
くわりと大きく口を開き見せつけるは磨き抜かれた短剣の牙。
その口から吐き出されたのは特大の哄笑!
ビリビリと震える大気。
ズガガの声に含まれる膨大な魔力が容赦なく防御魔法を揺さぶりました。