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さざめきと扇動者

広場は不思議な興奮に包まれていました。

民衆を叩いた会長様の言葉が波紋を描いているのです。

恐怖に竦むもの、強敵の存在に血気はやるもの、無関心なものと様々な人間がその場にいました。

けれど会長様の言葉がその人々の間に染み渡るにつれ、その目には一様に強い決意が宿りました。

その様を呆然と見ていたことのんには、まるで会長様が魔法でも使ったかのように見えました。


「我らが生き様を!我らが意地を!」


民衆の一人が声を上げました。

その声はどんどんと大きくなりすぐに大気をしびれさせる雄叫びへと変化しました。

強大な敵を前に何が大切か。

それは戦う意志を失わないこと。

民衆を鼓舞した会長様はそのことを肌で感じたようでした。

しかし堅く握りしめられた会長様の手は震えており冷たく湿っていました。

それはそのまま会長様の心の中のようです。

どんなに怖くとも退いてはならない瞬間はあります。

自分の中の恐怖を押さえつけて声を張り上げなければならない時もあります。

側に来たタマ様がことのんと繋いでいない方の会長様の手をそっと舐めました。

ヘニャリと笑った会長様はゆっくりとタマ様をなでました。

ことのんの手はもう痛くありませんでした。

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