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復活した古の恐怖

長年の封印から解かれたズガガは自由への歓喜を叫びました。

その耳をつんざく大音声にことのんは動けませんでした。

見上げたズガガはまるで鳥のような大きな翼を持っていました。

広がる翼は空をすっぽり覆い、身の丈は太陽を食らわんほどもあります。

縦に長く横に狭い薄っぺらな三角形の奇妙なくちばしの中には、ナイフのような長く鋭い牙が無数にひしめきます。

あたりにはまるで卵の殻のようにズガガを封印していた石が転がっていました。

ズガガの叫びを聞いてあわてて駆けつけた誰かの絹を裂く悲鳴が、ことのんにはどこか人事でした。

ことのんは目の前の存在に圧倒されていました。

ズガガを見上げてバカのように口を開けるだけでした。

それはまるで蛇に睨まれた蛙のように、生物としての桁違いな上下関係から来る尊敬にも似た諦念でした。

かなうわけがないと。

あがくだけ無駄だと。

ズガガという絶対上位の生き物に対し、あらがう気力さえことのんには起きませんでした。

悲鳴はすでに町中で上がっています。

ズガガの鳴き声は特徴的で聞くものに等しく恐怖を植え付けます。

平和で長閑なカラントリエの町。

ことのんの好奇心がその町を恐怖の中にたたき落としたのです。

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