こうして信者は増えていく
王女様を救う旅の途中、カラントリアの町でことのんはタマ様と再会しました。
タマ様のギリギリの均衡を保って配色された三色の毛並みの輝きと、一国の王でも持ち得ないだろう極上のエメラルドを思わせる目はちっとも変わりません。
相変わらず猫嫌いが怯むような目映すぎる美しさです。
ことのんの方はじっとタマ様を見ましたが、タマ様はことのんの方をちらりとも見ませんでした。
タマ様は黙ってレストランの扉を見ています。
程なくして扉が開くと、会長様といかにも偉そうな人が出てきました。
茶色い髪に海色の目をしたさわやかタイプのイケメンさんですが、その頭にはまさかの『ねこみみ』。
わざわざ髪の色に合わせたのか、柔らかな栗色の『ねこみみ』が彼の頭頂で揺れています。
そして彼は外で待っていたタマ様の前にかしづくと、恭しく右前足にキスをしました。
彼は興奮しているのか頬は上気し、緊張にその手はふるえています。
一瞬の恋は当然、百年の恋も醒めるような衝撃です。
しかし、タマ様は何でもないように会長様に向かってのどを鳴らし、会長さんも微笑んでいます。
目撃者のことのんは此処にいるべきではないと判断し、道の反対側を見るようにして逃げ出しました。