恐怖を閉じこめた場所
泊まった怪しいお屋敷で出された朝食も食べ終わり、執事さんにつれられて現在移動中です。
お屋敷のご主人に会うのですが……さあ、ここはどこでしょう?
「もうすぐですよ」
にっこり笑って先をゆく執事さん。
すみません、それさっきも聞いたんですが。
だいたい三十分くらい前に。
屋敷の中を移動していたはずなのに、いつの間にやら洞窟のような場所を歩いていることのんたち。
暗い中、魔術師さんがつけた魔法の火だけが唯一の明かりです。
「こちらです」
あれからさらに三十分歩き通した先に、物々しい扉がありました。
重厚な石で作られた扉は、物理的にも魔術的にも厳重な封印を施されており、ちょっと近寄りがたい雰囲気です。
「こちらに屋敷の主人はおります。ナイフと剣と杖をお預かりしてもよろしかったでしょうか?」
にこやかに言い放った執事さんの言葉に、剣士さんと魔術師さんは噛みつきます。
恐怖の正体を目の前にして武装解除とは何様だ、と。
「ご安心下さい。恐怖は、主人が封じておられますゆえ」
妙に冷めた目を持って執事さんは淡々と言います。
ピリリと張り詰めた場の空気は刺すようです。
ことのんは静かににらみ合う三人を、ただ見ているだけでした。