ズガガは以外と身近にいる
さらわれた王女を救うため旅に出たことのん。
途中泊まった怪しげなお屋敷で、剣士さんと魔術師さんの注意も聞かず爆睡し、懐かしい夢を見ていました。
小さい頃に聞かされた建国の話です。
話に登場するズガガというのは生き物でも魔物でもありません。
それは生き物や魔物の魂を食べる化け物です。
今ではその多くは封印されていますが、魔王の軍の中には毒を打ち杭を刺し魔術で意識を奪って騎獣としている部隊もあると言います。
ズガガはあるものは鳥のように空を飛び、あるものは馬のように地を駆け、あるものは魚のように海を泳ぎます。
地方に巣くうドラゴンもズガガの一種ですし、純粋な乙女以外を排除する一角獣もズガガと言われています。
様々な場所でその存在は伝承され、特に強大なズガガの封印は各地にあるといわれています。
寝ぼけ眼をこすりながら顔を洗い身支度を整えた頃、軽いノックとともに昨晩の執事さんが朝食を持って入ってきました。
「よくお眠りになられたようで」
にっこにっこする執事さんに、ことのんは笑顔で答えました。
執事さんの言葉が嫌みと気付いた剣士さんと魔術師さんが、何で気付かないんだ、こいつ、という視線でことのんをじっと見ていました。