消えた猫と町外れの教会
魔王から王女を救う旅にでた勇者ことのん達。
その行く手に立ち塞がったのは金銭問題という世知辛い壁でした。
所持金三千ギメルだったことのんは、お金を稼ぐために猫探しの依頼を引き受けました。
とは言うものの、腕のいい魔術師さんがいることのん達は、サクサク猫の居場所を占ってしまいました。
占いによると、猫がいるのは城下町のすみっちょにひっそりと立つ教会のようです。
三人は、仲良く、その教会に向かいました。
教会は見た感じぼろっちく、建築基準法に引っかかりそうな風態です。
重そうな木の扉を叩くと中から真っ黒なコートを着た男が出てきました。
男は眼鏡をかけており顔はよくわかりません。
ただコートだけでなく中のシャツまで黒一色で統一してありました。
「どうしたんだい?」
ことのんはその男に猫がいないか聞いてみました。
「そうだねえ。僕は黒が好きだけど、黒猫は見てないよ」
ことのんはガックリしました。
別の場所を探すことを進められたことのん達ですが、魔術師さんが反論しました。
魔術師さんはとても腕のいい魔術師でしたから、彼女の魔術が失敗するわけがないのです。
魔術師さんは黒いコートの男が嘘をついていることを見破りました。