ほほえみで告げられた死刑宣告
ことのんの目の前には魔族の美少年。
綺麗なハシバミ色の目をゆがめニッタリと笑っています。
「お前だろ。クロネコ捕獲作戦を台無しにしたの」
少年の指摘に心当たりが思いっきりあったことのんは黙ってうなづきました。
城下町であった黒一色を纏う魔術師。
魔王様と言っていたので魔族とも何かしら関係があったのでしょう。
「お前らのせいであの男どうなったと思う?」
少年の質問の意図が分からずことのんは首を傾げました。
「魔王様が直々にお命じになられた仕事を完遂できなかったんだ。もう、分かるだろう?」
少年は綺麗に笑っています。
その綺麗さに逆にことのんは怖くなりました。
首を引っ込めて小さくなることのんの長い髪を乱暴につかみ美少年は笑います。
「お前は敵だ。俺たち魔族の敵だ。王女を救いに城まで来るんだろ?こいよ。たっぷり歓迎してやるよ」
目がこぼれ落ちそうなほど見開いてことのんは奥歯を鳴らします。
逃げたいのに体は動きませんし、目もそのハシバミ色に固定されています。
「ゆっくりおいで。最高のパーティの準備をして待っててあげる。来ないなら迎えに行くから。どんな聖域だって、ね」
これは死刑宣告と判断したことのんは気絶しました。