魔王を倒す唯一の武器
王女様を救う旅にでた勇者ことのん。
ポポロンの領主の末娘を無事助け出したまではよかったのですが、おじいさんに勇者の資格をひっそり量られていたようです。
勇者なんて柄じゃないと自覚していることのんは、おじいさんの次の言葉を待ちました。
「して、ことのんよ。優しいそなたのことだ。魔王にさらわれた王女を不憫に思い、慣れぬ勇者となったのだろう?」
冷静なことのんは王様に脅されたとは言いませんでした。
「そう恥ずかしがるでない。そなたの優しさは美点なのだ。ところで魔王の弱点は知っておるか?」
ことのんが黙っていたらおじいさんはいいように解釈しました。
ことのんは首を傾げました。
「魔王の弱点、それは、剣でも魔法でもない。乙女の口付けなのじゃ!汚れなき乙女の口付けにより魔王は倒れるのじゃ。勇者ことのんよ。この事件で儂は確信したのだ。心優しいそなたなら必ずや魔王を倒すことができようぞ」
「私も信じております。勇者様」
両肩に手を置きがくがくと揺さぶってくるおじいさんと、胸の前で手を組んできらきらと見つめてくる末娘さん。
美しい美脚をこれでもかと晒しているメイド服のことのんは、只何処か遠いところを見つめる他ありませんでした。