人質となった末娘さん
魔族から末娘さんを助けたと思ったら、また後ろから末娘さんを人質にされた勇者ことのん。
乱暴に掴まれた髪が痛いのか末娘さんはグッと歯を食いしばって耐えています。
血走った目の男はそんな末娘さんに剣を当てて、剣士さんと魔術師さんを威嚇します。
後ろで同じように剣を構えた男の一人がニヤリと笑い、その口元に光る金歯を見つけたのでこの男があのとき襤褸を纏っていたようです。
「助けて、勇者さまぁ!」
末娘さんの悲鳴。
しかしことのんたちは動けません。
「ほらほら!百万ギメルだ、早くしろ!勇者だろ!」
勇者だから何だとことのんは反論したくなりました。
ことのんは、只のしがない町娘なのです。
「百万ギメルですって!そんなのいくらお父様でも無理よ!」
「無理なはずがない!商人たちからの賄賂であいつの懐はうるおっているんだ!」
「それこそ有り得ないわ!そんな事をすれば『ぬっこぬこの会』から除名処分を受けるんだから。たかが賄賂でそんな危険を冒すバカがいるなら、見せてほしいくらいよ!」
剣で脅されているのにキャンキャンと叫ぶ末娘さん。
助ける側としては、なるべく相手を刺激しないように大人しくしておいて欲しいのですが、無理なようです。