万能の解除魔法
剣士さんがその剣を振るい、魔術師さんが手の中で魔法陣を展開させている隙に、ことのんはほうって置かれている男たちの方へ行きました。
男たちに見た感じ外傷はありませんが、皆一様にものすごい脂汗をかき、眉間にしわを寄せ、唸りながら眠っているのです。
さすがにことのんでも、この眠りが魔法による強制的な眠りであること、恐ろしい悪夢を見せられていることは分かります。
しかしことのんは魔法で引き起こされた眠りをどうやって覚ますのかは知りません。
普通に声をかけて起きるならとっくに起きているでしょう。
とりあえず突っついてみましたが起きません。
頬をつねりましたが起きません。
鼻をつまみましたが起きません。
口をふさぎましたが起きません。
一体どうすればいいのでしょうか。
知っていそうな魔術師さんや少年は今修羅場なので声をかけることはできません。
さてどうしたものかと考えているとうずくまっていた末娘さんと目が合いました。
「悪夢から覚ますのに必要なのは乙女のキスよ!」
叫ぶように教えてくれた末娘さんありがとう。
つまりあきらめろと言うことですね。
分かりました。
ことのんは勝手に一人で納得し、端っこへそそくさと下がりました。