笑う少年
禁術を使う情報屋を探すため、早速魔術師さんは魔物を捜す魔法を発動させます。
末娘さんを捜した先ほどとは違い、地図の上にいくつもの禍々しい色の火が灯りました。
この場所に何かしらの魔物がいるのです。
早速兵たちはその場所へ散開していきます。
ことのんたちは中でも、特に大きく輝いた場所を選び、向かいました。
そこはアンティークショップの兄ちゃんが教えてくれた情報屋の家と、全く同じ場所でした。
家につくとすぐさま魔術師さんは魔法を使い、魔術の痕跡を暴きます。
まるで蜘蛛の巣のように細く浮かび上がった魔法の軌跡は、綿密なる規則性を持って一カ所に向かっています。
糸がのびる先の本棚を剣士さんが動かすと、その裏の壁が壊され隣の家へと続いていました。
ことのんたちが足音を殺して移動すると人の気配がします。
「きゃはははは!ばっかじゃねーの、この俺様に人間ごときが勝とうなんて。遺伝子レベルで無理なんだっつーの!」
子供の高らかな嘲笑と低く唸る苦悶の声。
ことのんが息を詰めて覗くと、床に倒れ伏した大の大人が少なくとも三人。
彼らを見下すように笑っている少年が一人。
そして少年の足下には縛られた末娘さんがうずくまっていたのです。