馬車の旅は危険がいっぱい
新章(?)に突入です
王女様を救う旅にでた勇者ことのん。
最初の目的地は城下町の北西にある街です。
ことのん達は旅人を乗せる馬車に乗っていました。
隣に座っているおじいさんに飴玉をもらい、コロコロと転がしていると、馬車がガクンと大きく揺れて止まりました。
「うわっ馬車強盗だ!」
鉄砲の乾いた音と御者さんの悲鳴が聞こえます。
剣士さんと魔術師さんが立ち上がり、外に向かって躍り出ました。
「やれやれ、城下のすぐ側だというのに。すっかり治安が悪くなったな」
ことのんの隣にいたおじいさんはそう呟くと呪文を唱え始めました。
おじいさんの手のひらに集まったのはきらきらとした光でした。
キンッと金属を鳴らしたような音が響き、馬車に魔法がかかります。
ことのんは魔術には詳しくありませんが、何となくすごいことはわかりました。
攻撃魔法よりも、防御や回復の魔法の方がずっと難しいのだと、魔術師さんが言っていたからです。
「さて、勇者ことのんよ。馬車の客は儂が守る。外の援護にいってやってくれ。なに、老いぼれだがの、ちょっとは腕に自信もある。ここの心配はいらんよ」
どうやらおじいさんは、ことのんが馬車に残っていた理由をかなり美しく誤解しているようです。