その美しさは罪
まだまだ城下町をうろついていることのん達。
その頭上には可愛らしいキーアイテム『ねこみみ』が揺れています。
酒場の主人はこじゃれた雑貨屋の扉を開けました。
「俺に案内できるのはここまでだ。大丈夫さ、会長はいい人だからな!」
きらりと白い歯を輝かせ、酒場の主人はグッドラックと言いました。
幸運を祈られても困るとことのんは思いました。
「いらっしゃい!あら、ひょっとして会長様に用事かしら?ちょっと待ってて。今あの人呼んでくるから」
魅惑的な看板娘さんがクルリとエプロンを翻し奥の方に向かって声をかけました。
「みゃう」
可愛らしい猫の声。
ちっちゃくってふわっふわの猫を想像したことのんの期待は、モノの見事に裏切られました。
音もなく奥から歩いてきたのはすらりとした無駄のない魅惑的な肢体。
ぱっちりとした緑の目に、気の強そうな顔つき。
鮮やかな黒と白と茶色に染め分けられた艶やかな毛並み。
それはそれは美しい猫でした。
ただし、大人の腰ほども体高がありましたが。
「あぁ、タマ様、本日も何てお美しぃい!」
感極まって、美しい巨大猫の前にひざを突く看板娘さん。
ことのんは目の前の出来事を考えることを放棄したくなりました。