おかえりの抱擁
魔王城に到着した勇者ことのん達。
歓迎なのかワラワラと城から人が溢れてきます。
その先頭を走ってきたのは遠目からでも分かる純白のドレスを纏う女性。
日の光に金の髪がからむその姿は女神や天使にも引けを取らないでしょう。
王女様、人間の兵士達のつぶやきが誰からともなくこぼれます。
美しいその人が走る先には自然と人垣が割れ道になります。
腕を広げ飛び込んだ王女様を受け止めたのは、会長様とその飼い猫タマ様でした。
「王女! そこは私との感動の再会ではないのか!?」
魔王ががなんやかんやと騒ぎ立てますが王女様は素知らぬ顔。
会長様はやれやれと微笑みながら王女様の髪を撫でました。
「ズガガにさらわれてしまったとお聞きしましたがご無事で何よりでございます」
「こちらこそ。魔王様にはお世話になりました。彼の協力がなければ私は生きていられなかったでしょう」
会長様の言葉にハッと顔を上げた王女様は今気づいたと言わんばかりに魔王を見つめそして砂糖菓子 のようにほころびました。
「ありがとうございます。美しく気高き魔族の王よ。人である私の望みを叶えてくれて」
「そなたの望みそなただけの満足で終わらない。それは魔族と人を繋ぐ懸け橋となる」
スペースを加えました。