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乙女の涙

 邪悪なズガガと相対するのは絶世の美貌を誇る一人の魔族と一頭の猫。

 一人、奥に座り込んだことのんはそんな光景を見守るだけでした。

 なんて無力なんでしょう。

 意味の分からない占いで選ばれたからと言って、足手まといであるからと言ってことのんは、勇者ことのんであるのに。

 コロリと冷たい何かが目からこぼれました。

 ことのんがその落ちた先に見たのは小さな水。

 その水からふわりと風が動きました。

 それは魔法。

 ことのんは反射的に前を見ました。

 目を伏せた美貌の魔族が操る、太く短い人の命と細く長い魔族の命を織り交ぜた巨大な魔術。

 ことのんの涙もわずかな明かりを反射しながらその力の渦に取り込まれていきます。

 剣士さんがもう一度剣を構えます。

 その刀身に魔術師さんが祝福を施します。

 魔族と人、この場で戦う人たちの声がその背を押します。

 剣士さんによって投擲されたその剣は、魔法陣をからめ取りそのままタマ様の真上に行きました。

 危なげなくその剣をくわえたタマ様はズガガに向かいそのたわめた足を延ばします。

 輝く刃はそのままズガガの眉間に吸い込まれるようにして突き刺さりました。

 哄笑もなく絶叫もなく、ズガガはその身を完全に起こしました。

スペースを加えました。

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