卵を守る親鳥に似る
迫るタマ様と美形の魔族をズガガの長い尾が迎え撃ちました。
尾にびっしりと生えた毒のような青い鱗がそこらの明かりに反射します。
ズガガと戦うその姿は幻想的で、それはまるで最上の劇画のような光景でした。
暗い神殿、醜悪なズガガ、相対するのは人を虜にする異形の美貌。
ことのんが知るどんな神話よりもこの光景こそが神話らしく感じます。
タマ様の爪がズガガの白い羽毛を散らします。
美形の魔族が放つ魔法がズガガを穿ちます。
ことのんとズガガを遮るように立つ剣士さんと魔術師さんは防御魔法の要です。
人と魔族の織りなす繊細な防御魔法はどんな貴婦人のレースにも勝るでしょう。
ことのんはその光景を道化の隣でただ口を開けて見守るだけでした。
爪と牙と魔法が交差する中、ことのんは奇妙なことに気がつきました。
タマ様は低く身を伏せうなりました。
タマ様の爪をズガガは尾を振り払います。
美形の魔族の魔法は左翼を掲げて防ぎます。
牽制のように放たれる哄笑は防御魔法をたわめます。
しかしズガガ自身は一歩たりともその場を動きませんでした。
その羽の中に会長様を抱え込んだまま、ぶるりと一度身を震わせ、浮いた羽毛を払い落とすと大きく息を吸いました。
スペースを加えました。