表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/110

prologue


これは昔々のお話です。

それは山で竜が昼寝をし、森の泉で精霊が水遊びをし、花の中で妖精がお茶をしていた時代。


当時、人間の国は魔物達の侵略に日々、戦々恐々としておりました。

朝日に綻ぶ花よりも、夜空に輝く月よりも美しいと讃えられた王女様は、お城のテラスで一人嘆いておりました。

今日もまた、一つの町が、魔物によって攻め滅ぼされたと聞いたからです。

王女はポロポロと、ダイヤモンドのような涙をその綺麗な緑の目からこぼしました。


そんな王女様の姿をじっと見つめる男がいました。

血のような色の目の男が庭木の陰から王女様を見ていたのです。

「美しい……」

ため息をつくように言った男は、その背に生えた翼を広げ、王女様の前に躍り出ました。

突然目の前に現れた男に王女様は息を呑みました。

男はきれいに整った顔をしていましたが、その背に漆黒の翼を持ち、耳も牙も鋭く尖り、山羊のような角をつけ、血の色の目をした魔物でした。

魔物は王女様を抱き抱えるとそのまま空へ飛び上がりました。

悲鳴すら上げることかなわず、王女様はさらわれてしまったのです。


その一部始終を見ていたのは、月と、星と、お城の窓から顔を覗かせていた道化だけでした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ