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ズレ
「もう下校の時間か…。」
授業中に寝たりはしない。
その点ではまともだと思う。
それでも彼にとって面倒なことには変わりなかった。
それなら行くなよ、とも言われそうだが。
「帰ったらなにすっかな…。」
そんなことを考えて昇降口に向かっていた…、その時。
「おーい、一緒に帰ろう?」
「…。来たか…。」
音羽につかまってしまった。
「来たかってなによー。せっかく人が一緒に帰ってあげようと声をかけてるのにー。」
「断る。俺は一人で帰る。」
「なんでよー。意地張ってないで一緒に帰ろうよー。」
「いやだね。お前といると目立ちすぎる。」
「じゃあ、黒いコートと黒い帽子とサングラスあれば目立たないからいいよね!」
「…余計に目立つだろ。」
こうして彼の平凡(?)な1日が過ぎようとしていた…。