小さな怪獣と大きな人間
公園の空き地に小さな怪獣がいました。
誰かが捨てたおもちゃの怪獣の人形に、魂が宿ったのです。
その怪獣は大暴れしたかったけれど、小さいのでできません。
ちょっとの火を吹いたり、ゴミを踏み潰すくらいです。
怪獣の日常は暇です。
町を壊したい。人を脅かしたい。
けれどもできないのですから。
怪獣は何もできない日々を送るたびに、イライラしたり悲しくなったりしました。
そんな怪獣のいる公園に、子供たちがやってきました。
久しぶりの来訪者です。
その公園は、取り壊しが決まっていたため、誰も遊びにこなくなったせいでした。
けれど、その日はなぜか子供たちがやってきたのです。
公園に来た子供たちは、一人の子供を取り囲んで、石を投げたり、踏みつけたりします。
取り囲まれた子供はえんえんと泣いて怖がっていました。
怪獣は、自分よりも怪獣らしい子供たちに嫉妬して、邪魔をしてやりたくなりました。
だから、火を吹いたり、地面の石を探る小さな手を踏みつけてやりました。
すると、一人を取り囲んでいた子供たちは、動く怪獣の人形にびっくり。
怖がってその場から逃げていってしまいました。
その反応に満足した怪獣は、いい気持ちになりました。
取り残された方の子供も、何が起きたのか分からずにびっくり。
けれど自分を助けてくれた小さな怪獣を好きになったため、家に連れて帰ることにしました。
それからその子供は、小さな怪獣と一緒に、たくさんの日々を過ごします。
大きな人間の弱気な心と、小さな怪獣の強気な心。
二つあわさってちょうどよくなりました。
たくさんの時間を過ごして友達になったけれど、お別れの時間がやってきます。
怪獣の人形は、少ししずつ動かなくなっていったからです。
すっかり成長して、出会った当初からさらに大きくなった元子供の人間は、えんえんと泣きました。
でも、怪獣に未練はありませんでした。
小さな怪獣は今までに過ごした時間の中で弱い人間の気持ちを理解し、人を愛することを学んだからです。
自分がいなくなっても、大好きな人が生きてくれればうれしいのです。
それに、一緒に過ごして培ったことは、人の魂の中に残り続ける。
だから独りぼっちになんかならない、と考えていました。
泣いている友達にそういって励ました怪獣は、二度と動かなくなりました。
大きくなった元子供の人間は思いっきり泣きましたが、最後には元気を取り戻しました。
いつまでもくよくよしていたら怪獣に笑われちゃう。
そう思って、怪獣から学んだ強い心で現実を受け止め、これからを生きていくことにしたのでした。




