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鳥
白銀に覆われた怪鳥は黒煙をまき散らし
空を海を地を自在に飛び回る
怪鳥の翼はコウモリに近く
怪鳥の爪は一つ一つが大人程の大きさを持つ
怪鳥の目はひと睨みで動けなくなり
怪鳥の鳴き声はどの猛獣の物でもなく
どの猛獣も脅え逃げまどう
白銀の身体は鋭い剣も鉄の玉も貫くことは出来ない
怪鳥は時間を食べ
思い出と希望の光を奪う
怪鳥は金星が見える日に現れ赤ん坊を攫う
大人達は金星の見える日には外にでず
赤子を守り教会に集結する
怪鳥は金の十字架に近づけない
大人達は十字架に祈りを捧げ怪鳥の通り過ぎて行く事を待つ
怪鳥の通り過ぎた後には
首に手を当て恐怖に引きつった顔の人達があちこちで倒れてい る
怪鳥は赤子を100体飲み込むと水星に返る
生まれた我が子を怪鳥に捧げる親はいない
然し快楽におぼれ赤子を捨てる親がいる限り怪鳥は地球にやっ てくる




