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河
暁の止む前にこの途を渉らねば大蛇が蜷局を解き天より舞い降 りる
私は人骨の中爛れてゆく硫酸の川に人骨を投げ入れ橋を造る
金星が姿を顕し白月が輝き出す
何時此処に来たのか全く見に覚えがないが
何故か此処の奇妙な風景も奇妙なしきたりも
太古の記憶が私に語りかけ理解する
宿主を失った陰は一つとなって大きな闇に戻り夜に昇天する
私は滑る躰を必死に掴み症炎の苦しみに声を上げそうになる
然し感情は闇を引き寄せ知恵の言霊で振り払わねば成らぬ
使った事もないサンスクッリト語を語り物言わぬ闇を払う
硫酸の河を渡る途中小船がやってきた
私は金貨の替わりに目玉を渡し河を渡った
次は業火の山を登らなければならない




