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転生したのに異世界生活がぜんぜん楽しくないなんて話が違うじゃないか  作者: むらさきじゅんぺい


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第7話 バリューの発現

照平が村のやり方を実践し始めて一ヶ月が経った。

村人たちの照平を見る目は「よそ者」から、「面倒だが真面目な働き手」へ完全に変わっていた。

彼が作業で苦労していると、手伝ってくれる者も現れた。


心を開き始めた村人たちから、照平は「非科学的」だと思っていた習慣の真の意味を聞き出した。


<種まき前の祈りの儀式>

実は特定の薬草の煙を焚くことで、小さな害虫を一時的に遠ざける効果があった。


<水を耳に三回かける習慣>

この村の病気は激しいめまいから始まることが多く、耳に水をかけて一時的に頭の熱を下げ、三半規管を正常にするという狙いがあった。


「なんだ、ちゃんと合理的な理由があったんじゃないか」


照平は、自分が過去の転職先で「非効率」だと切り捨ててきた慣習にも、実はちゃんとした合理性や経緯があったのではないかと初めて考えた。

元の世界で「馴染めなかった」のは、新しい環境を理解しようとせず、自分の狭い価値観だけですべてを否定していたからだ。

照平は、この異世界で過去の自分と決別し、まっさらな気持ちで学ぶことの大切さを知った。


------


ある日、村に大きな問題が発生した。

村で最も重要な水源である井戸の水が、急に枯れてしまったのだ。


「このままでは作物がすべて枯れてしまう!」


村は大混乱だ。

村人たちは困り果て、祈りを捧げる以外の解決策を見つけられずにいた。


どうにかしてこの窮地を救いたい、自分も何かできないだろうか......その一心で照平が井戸の底を覗き込んだその時。


照平の体から、スマートフォンで「受諾する」を押した時と同じ、暖かい光があふれ出した。


『バリュー:ブラウズが起動します』


その瞬間、照平の頭の中に、井戸に関する膨大な情報が流れ込んできた。

村の歴史を記した古文書の断片。

長老たちの父から子へと口伝された地下水脈の古い伝承。

井戸の底にある岩盤のわずかな亀裂。

それは、この世界に存在する「情報ネットワーク」を、あたかも現代のインターネットのように検索し、分析する能力だった。


「なんだこれは!!」


そして照平は、驚くべきスピードでその情報を処理した。


「わかった!この井戸は、少し離れた場所にある古い『守りの岩』と繋がった水脈が原因で枯れたんじゃないか!?岩が崩れて水路がふさがってる!そこを掘り直せば水が流れるかもしれない!」


照平は、古文書と伝承に記された暗号めいた場所を特定し、地面を指さした。

村人たちは半信半疑だったが、いつも真面目に村の習慣を守る照平の言葉を信じ、指示された場所を掘り始めた。


数時間後、枯れた井戸から勢いよく水が噴き出した。

村人たちの歓喜の声が響き渡る。

そしてその輪の中心には照平がいた。

照平は、異世界に来て初めて自分の存在が誰かの役に立ったという、言いようのない充実感に包まれた。


つづく

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