第4話 八方ふさがり
村での孤立に絶望した照平は、意を決して村を出ることにした。
「この村はダメだ。もっと進んだ文明の街なら、俺の知識を活かせるかもしれない。」
"お世話になりました"という内容の書き置きを残し、まだ日が昇らないうちに照平は村を出た。
歩いて数km先に少し大きな街があることを村の人から聞いていたため、ひとまず、その街を目指すことにした。
暗い夜道を1人で歩くのは心細かったが、幸いにもモンスターなどは出なかったし、何より村でぞんざいに扱われた悔しさが照平を奮い立たせていた。
「もう二度と堆肥作りなんてするものか!新しい環境で心機一転、自分にふさわしい仕事をするんだ!」
しかし、この「異世界居場所探し」もまた、すぐに頓挫した。
日が昇った頃街に着いたが、着いた早々問題が発生した。
街の入口で警備をしている衛兵に止められたのだ。
「紋章を見せろ!」
紋章とはこの世界での身分証のようなものらしい。
異世界から来た照平は紋章を持っていない。
「私は先日異世界から転生してきた者で、紋章は持っていない。紋章は持っていないが決して怪しい者ではない」
と説明しても、衛兵は鼻で笑うだけだった。
……くそ。いきなり異世界に飛ばされて身分証なんてあるわけないだろ!……
さらに、衛兵は続けた。
「君の職業は?もしくは何かバリューを持っているか?」
……バリュー??
「職業は、えーと……この世界ではまだ職業はないけど。バリューってなんですか?」
衛兵の目は完全に死んだ魚のようになった。
「身分も証明できない、なんの役にもたたないようなやつを街に入れることはできない。」
その衛兵の言葉が、「君は結局何ができるの?」という、ブタゴリラ社長の言葉を思い出させた。
照平は打ちひしがれた。
この異世界という名の新しい「居場所」においても、自分は、必要とされていないという現実を突きつけられたような気がした。
「どこに行っても同じじゃないか……。俺は、どこの世界でもうまく行かない……」
絶望した照平は、街外れの木陰に座り込み、途方に暮れた。
待望の異世界生活は早くも行き詰まり、照平は「無力な孤立者」となってしまうのか。
つづく




