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転生したのに異世界生活がぜんぜん楽しくないなんて話が違うじゃないか  作者: むらさきじゅんぺい


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第2話 心おどる転生は土の匂いとともに

目が覚めると、照平は藁のベッドの上にいた。

壁は丸太と漆喰、天井は太い梁がむき出しになっている。

土間からは微かに家畜の匂いがする。


目の前には見知らぬ老婆が心配そうにこちらを見下ろしていた。


「あぁ、目が覚めたかい。驚いたじゃろう。あんたは昨日、この村のはずれで倒れていたんだよ」


老婆が話す言葉は、日本語ではないはずなのに、頭の中に直接意味が流れ込んでくる。


ここは夢の中だろうか。

それにしてはリアルすぎるが......


「まさか、これは……異世界転生!」


照平は、にわかに胸が高鳴るのを感じた。

魔法、スキル、魔王、美女のハーレム、英雄譚……。

これまでアニメや小説で見た世界だが、自分が実際に体験することになるとは


「これから俺の第二の人生が始まるんだ!」


普通であれば到底受け入れられない状況だろう。

だが、照平はこの状況にワクワクしていた。


転職活動に行き詰まり、今働いている会社にも馴染めない。

ならいっそうこの世界で心機一転やり直すのもいいのではないか。

"ここで自分は何者かになれるのではないか"

そんな期待が不安を大きく上回っていた。


興奮気味に立ち上がった照平だったが、現実はそう甘くなかった。

彼は、村人に命を救われた礼として、しばらく村で働くことになった。

割り当てられた仕事は、村の畑を耕すための石拾いと、家畜のフンの堆肥づくり。


「なんだこれ……。なんで異世界に来てまで土いじりとフン掃除なんだ」


照平が期待していたのは、剣と魔法のファンタジーだった。

レベル上げ、ダンジョン攻略、あるいはチート能力で一攫千金。

それなのに、やっていることは元の世界での仕事以下の泥臭い仕事だ。


村人たちの服装はボロく、言葉遣いも荒い。

照平への扱いは客人でもなく、ましてや勇者でもない。

彼らは照平をただの「迷い人」として見ており、特別扱いはしてくれなかった。


「なんでこんな仕事しなきゃいけないんだ!」


慣れない作業と、日本の倍はあるような強い日差しで、すぐに疲労が溜まる。


「くそ。こんなはずじゃなかった。結局、どこに行っても俺は何者でもないってことかよ」


照平は、心の中で悪態をつきながら、また一つ、石を投げ捨てるように積んだ。


つづく

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