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転職に失敗し続けた俺が、異世界で転職成功の極意を掴んで勝ち組目指す  作者: むらさきじゅんぺい
第2章 拒絶の空気

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第16話 プロジェクト・カレンデュラ

翌日。


照平はルチアに案内され、ルメンヴァル公邸の目の前にある広い花壇にやってきた。

今日の仕事は花壇にカレンデュラの苗を植える作業だ。


カレンデュラはルメンヴァルを象徴する花であり、街のいたるところで目にすることができる。

そのオレンジの花は色鮮やかで、別名『太陽のハーブ』とも呼ばれている。


広い花壇の一画に何も植えられていない場所がある。

ここに苗を植えていくのだという。


「照平さま。まずはここの土を耕す作業をお願いします」


きた!


照平はルチアに見られないよう注意しながらニヤリと笑った。


「分かりました。では早速始めます」


この二週間、とてつもなく肩身の狭い思いをしてきた。

ヴァレリアに拒絶され、ルチアや他のスタッフとも馴染めず、この空間から逃げ出したいと毎日思っていた。

だが、それも今日で終わりだ。


照平は靴を脱いで裸足になると、堂々とゆったりとした足取りで、何も植えられていない花壇に入った。


花壇の中央に立つと、目を閉じ、大きく息を吸い込む。


さあ、プロジェクト・カレンデュラ......キックオフだ!!


心の中で叫ぶと、目を見開き、勢いよく素足で地面を打ち鳴らし始めた。



そう......照平は村で覚えた『豊穣の躍り』をこのルメンヴァルで盛大に披露したのだ。


一度は意味がないと反発した『豊穣の躍り』だったが、その意味を知り、受け入れ、一緒に踊ることで、村の人々と心をひとつにすることができた。

この『豊穣の躍り』を踊ることで、照平がこの世界のルールを熟知していることを示すことができるはずだ。

そうすればルメンヴァル公邸の一員として受け入れてもらえるに違いない。

照平はそう考えたのだ。


照平の奏でる足音は、ゆったりとしたリズムから徐々にテンポを上げていく。

時に力強く、時にリズミカルにビートをきざみ、それに阿波おどりのような手振りがシンクロする。


よし、これをあと一時間!!気合いをいれて踊りきるぞ!!


照平の奏でるリズムが一段とテンポを上げたその時だった......


ルメンヴァル公邸から静寂を切り裂くようなこの上なく晴れやかな大笑いが聞こえてきた。


え????


照平はあまりの衝撃に笑い声の主を探した。


笑い声の主はヴァレリアだった。


ヴァレリアは窓枠にしがみつき、折れ曲がるようにお腹を抱えている。


「くっ、ふふ……あーっははは! なにその変なダンス!お腹がよじれる……!」


彼女の指さす先で、照平は泥にまみれたまま立ちつくす。


どういうこと??


照平はあわてて近くにいたルチアを確認した。

すると、ルチアは口を両手で抑えるようにして、ブルブル震えながら必死で笑いをこらえていた。


やってしまった......


この世界の共通ルールだと思っていた『豊穣の躍り』は、実は村のローカルルールだったのだ。


照平は顔を真っ赤にして、恥ずかしさのあまり、その場にうずくまるしかなかった。


もうだめだ......終わった......






しかし照平の大失態とは裏腹に、このプロジェクト・カレンデュラの一件のあと、照平を取り巻く状況は少しずつ良い方向へと向かっていくのであった。



つづく

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