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転職に失敗し続けた俺が、異世界で転職成功の極意を掴んで勝ち組目指す  作者: むらさきじゅんぺい
第2章 拒絶の空気

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第15話 転職を繰り返すと年下が先輩になったりする

ルチアは慣れた手付きで淡々と掃除を続けている。


この家庭教師何もしてないのにいつまで居座る気かしら?


そろそろそんな風に思われていてもおかしくない。


この気まずい状況をなんとかしたい。

照平はさんざん考えたあげく、ある行動を起こすことを心に決めていた。


「あ、あの、ルチアさん」


「はい?」


ルチアは掃除の手を止めてはくれなかったが、顔はこちらに向けてくれた。


「あの、俺も何か手伝わせてもらえないかな?皆さん忙しそだし、少しでも力になれればなぁなんて......どうかな?」


郷に入っては郷に従え。

まずは信頼を得て、この邸宅の一員になる。

村で身をもって学んだこのルールを実践することが、あと二か月ここで生活していくための最善策だと思った。


ルチアは予想外の提案に思わず掃除の手を止めたが、すぐに掃除を再開した。


「私では判断できませんので、リカルド様に聞いてみます」


よし!!


照平は心の中でガッツポーズをした。


「ありがとう!ほんとに!なんでもやるからさ」


ルチアはあきれたようにため息をつくと、手早く掃除を終えて部屋を出ていった。


まだ手伝えると決まったわけではないが、おそらく大丈夫だろう。


照平には自信があった。

この一週間で感じたこと、それは『ここのスタッフは深刻な人手不足である』ということだった。


ルメンヴァル公邸での仕事は多岐にわたる。

炊事、掃除などの家事、施設の手入れ、アルベルトの仕事の補佐、出張の付き添い、ヴァレリアの身の回りの世話、その他いろいろ.......

そのすべてをたった4人で行っている。


普通のブラック企業ではない。

ブラック中のブラック、深淵のブラック企業だ。


その手伝いを自ら申し出るというのは正気の沙汰ではないと思いながらも、背に腹はかえられない。

どうせ二か月経ったらここを出ていくし、気楽にやろう。


照平の予想したとおり、その日のうちにリカルドからの許可がおりた。


こうして照平は、家庭教師から使用人見習いへと降格したのだった。


------


「疲れたー!!」


照平は勢いよくベッドに倒れこんだ。


使用人見習いとなって一週間がたち、照平は手伝いを申し出たことを盛大に後悔していた。


それは、仕事が思っていた以上に激務だったということもあるが、それ以上に『手応えのなさ』を感じていたからだった。


照平が任されたことは、掃除や皿洗いなど雑用が多かったが、朝から晩まで休みなく続く仕事を文句ひとつ言わず、決してオリジナリティを加えることなく、言われた通りにこなした。


以前いた村であれば、一週間あればそこそこの反応があったと思う。

「真面目によくやっている」とか「見込みがあるやつだ」とかそういう声をかけてくれても良さそうなものだ。


しかし、ここではまったくそんな気配はなく、ただただ淡々と仕事を指示され、チェックされる。


「まだまだ頑張りが足りないってことかなぁ」


自室のベッドに仰向けになってグチっていると誰かが部屋をノックした。



コンコン



「失礼いたします。よろしいでしょうか」


ルチアだ。

照平はあわてて立ち上がる。


「は、はい、どうぞ」


ルチアがドアを開ける。


「明日なんですが、畑仕事をお願いしたいので、作業着でお願いします」


明日は肉体労働か。


「分かりました」


「よろしくお願いします。ではおやすみなさい」


そう言うとルチアはドアを閉め、どこかへ行ってしまった。


この一週間、ルチアと一緒にいる時間が一番多かったにもかかわらず、世間話のひとつもできていなかった。


そりゃ20歳そこそこの女の子が38歳のおっさんと話をしたくない気持ちは分からなくもないが......


「ルチアだけじゃなく、ここ全体の空気が何となく重いんだよなぁ」


時計を見ると日付が変わっていた。


やばい!早く寝ないと!


明日に備えて作業着を引っ張りだす。


畑仕事か......まてよ!


照平は突然あることを思い出した。


「いけるかもしれない!"アレ"ならこの邸宅の一員として認めてもらえるかもしれない」


作業着を準備すると、すばやくベッドに横になる。

そして、気持ちが高揚するのを抑えて、眠りについた。



いける!!!いけるぞ!!!......むにゃむにゃ



つづく

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