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放課後の音色

作者:江渡由太郎
高校三年の終わり。
亮と真司は、互いに強く惹かれ合いながらも、進学をきっかけに離ればなれになってしまう。
「離れても大丈夫」「信じてる」――そう誓い合ったはずなのに、時間と距離は少しずつ二人の心を蝕んでいった。
電話の声が他人行儀に聞こえる夜、LINEの既読が遅れるだけで胸が締めつけられる。
それでも「大丈夫」と言い続けてしまうのは、相手を失うことが何より怖かったからだ。

亮は不安と恋しさを押し殺し、何度も書いては破った手紙に想いを綴る。
「君がいない空の下で、僕はまだ君を想っている」――最後に残ったのはその一文だけだった。
一方の真司もまた、ベッドの上で眠れぬ夜を過ごしていた。
「寂しい」と言えない自分の弱さ、素直になれない心。
胸に下げた銀のペンダントには、笑い合う二人の写真が入っている。
あの日の笑顔に届かない自分を見つめながら、真司は何度も未送信のメッセージを消しては打ち直していた。

季節が巡り、やがて春。
冬の孤独を越えた亮は、駅で再び真司と向かい合う。
もう言葉はいらなかった。
互いの目の奥に、かつての約束と今の想いがすべて映っていた。
「手紙、もう出さなくていいみたい」
その一言に込められた優しさに、真司は涙をこぼす。
「またここから始めよう」
二人は桜の舞う春の光の中で抱き合い、ゆっくりと歩き出す。

――君がいない空の下ではなく、君がいる空の下で。
離れても消えない想いが、ようやく再び温もりを取り戻す。
それは、涙よりも確かで、愛よりも静かな光。
二人の物語は、終わりではなく新しい始まりへと続いていく。

第二章 距離の縮まる午後
2025/08/15 08:16
第十六章 約束の重さ
2025/10/11 19:48
第二十二章 涙の約束
2025/10/13 20:34
第二十四章 日常の温もり
2025/10/14 23:19
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