第6話
西部航空方面隊への転属命令がでた。九州と韓国は目と鼻の先でもしかしたら韓国軍と連携を取ることがあるかもしれない。
日本国は今の所韓国に対して表立って支援することはしていない。
戦争の序盤こそ、韓国軍は戦力で勝っているためか優勢だった。開戦から半年ほど経って急に雲行きが怪しくなってきて、2年過ぎた頃には戦争当初の国境付近まで押し返されてしまったらしい。どうやら秘密裏に亜東共和国より北にある天朝が支援しているらしい。急に亜東共和国の軍備が良くなったり兵站が改善されたりしているようだ。流石に連邦についての噂は聞いていないが。ここ数年は戦争は少し大人しくなり以前のように激しい戦闘は起きていないようだ。
だが、アジアを取り巻く環境は複雑になっている。日本の防空識別圏に飛来する国籍不明機は格段に増え、特に天朝や連邦の機体がこちらを挑発してくる。毎日のようにどこかの基地からスクランブル発進をし対処をしているという。
空だけでは無く海でも動きは活発だ。天朝は空母機動隊の練度を上げるためか頻繁に太平洋を航行しているようだし、連邦との合同軍事演習もしている。その動きに対処するため自衛隊と合衆国や王国とも頻繁に軍事演習をしていて、ピリピリしている。
このまま韓国と亜東共和国の戦争が停戦する、と言うことは無いだろう。最近はまたアユンから連絡も来るようになったのは救いだ。
『凛桜、また報告ができて嬉しい。最近は目立った戦いも無く、私は護衛任務が中心だ。機密もあって多くを話せないのが辛い。最近嫌な予感がする。凛桜のいる日本はどうだ。』
『アユン、メールありがとう。私も日々仕事で忙しいよ。最近は日本の周りでも戦闘機とか戦艦がたくさん目撃されているみたい。日本も戦争に巻き込まれるのかな。 ちょっと怖い。でもアユンが傷つくのが一番怖いよ。アユンが無事でいますように』
『凛桜、いつもありがとう。心配をかけるけど、早く戦争を終わらせるために頑張っているよ。片時も凛桜のことを忘れたことはないよ。愛している』
自分の立場を隠しながらアユンと話すのはちょっとドキドキしている。でもいつか話せたら良いな。そんな思いを胸に日本の空を守っている。