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第2話


 淡々と仕事をこなしていく。


 そんな生活のなかで『Endlessly Possibility Online』の話がどこでも聞くようになってきた。


 そろそろ発売開始らしい。


 そういえばあの『アポ人を作ろう!』は何だったんだろうな。


 相方が探れないぐらいのセキュリティだった。


 だがその割にやってることはキャラ募集みたいなもの。


 色々と噛み合ってない。


 ⋯まあ、俺がわかるわけないし別にいいか。


 とはいえ『アポ人を作ろう!』のおかげで『Endlessly Possibility Online』の興味が出てきた。


 もし発売されたら配信でも見ようかな。


 そうやって色々と考えている内に仕事は終わった。


 今回のやつはまあまあだな。


 まあ終わった仕事に興味はない。


 さっさと帰ろう。


 そうして荷物を纏めて帰ろうとすると腕輪に何かが送信されてきた。


 差出人の名前だけでも確認する。


 ⋯?


 ⋯思考が停止してしまっていた。


 一応、そのまま内容も読む。


 ⋯色々と確認しないといけないことが増えたので家に足早に帰ることにした。


***


『調べてみた結果、本物だな』


「そうか⋯」


 なんとなく予感していたがどうやら本物らしい。


 勿体ぶらずに言うと俺が受け取ったものは簡単なメッセージと『Endlessly Possibility Online』のデータだった。


『裏も調べてみたが特に仕掛けがあるわけではなさそうだ。⋯だが調べられるのが分かってるかのようにセキュリティは俺が突破できるギリギリの設定だった。何か企んでるのかもしれない』


「とはいえたかがゲームだろ?調べてもらった俺が言うのもなんだがそこまで警戒することか?」


『世界を揺るがすゲームで詳細不明な会社のゲームというのが抜けてるぞ』


「そういえばそうだったな」


 世界を揺るがすほどのゲームだが発売元は名のある会社ではなく無名の会社だ。


 その上、会社のセキュリティがとてつもなく、噂では国もセキュリティを突破できなかったらしい。


 その国がゲームに力を入れて攻略者の募集を始めたのもそんな噂を助長していた。


『まあ、俺はおすすめしないがやってもいいとは思う。だが多少は警戒しておくべきだな』


「ふむ⋯。そうか」


 だが俺の直感が大丈夫って言ってるんだよな⋯。


 そんな考えを読み取ったのか相方は言葉を続けた。


『⋯はぁ。そんな顔をするな。俺は怪しいと思っているが危険があるとは思ってない。ただのゲームには思えなかっただけだ。お前が大丈夫ならやってみるといい。俺も色々と調べてみる』


「分かった」


『分かってると思うが⋯』


「『ほどほどに警戒してほどほどに楽しむ』だろ?まあ、楽しんでみるさ」


『ああ。じゃあ、楽しむといい』


 そうやって相方との通信は切れた。


 相方の調べと俺の直感でこれが本物で危険がないのがわかる。


 ならもうこれを送った人物の思惑通りにゲームをしよう。


 それで何かわかるかもしれないしわからないかもしれない。


 だが『Endlessly Possibility Online』という素晴らしいゲームを遊べることには感謝しておこう。


 そうして俺は『Endlessly Possibility Online』を手に入れた。


――――

メッセージ

貴方は抽選が当たりました。

その景品として『Endlessly Possibility Online』をお送り致します。

楽しんで頂けると幸いです。

『Endlessly Possibility Online』開発元より

――――


***


 データとして手に入れた『Endlessly Possibility Online』は発売日まで起動することはできなかった。


 起動さえしてしまえば機器類は要らないとはいえ何か準備したほうがいいものを調べたり『Endlessly Possibility Online』のβテストの配信を見たりしている内に時間は過ぎていった。


 その間に何か確証を得たのか『Endlessly Possibility Online』に対しての態度が軟化した相方に色々と話しかけられたり、どうやってか手に入れていた『Endlessly Possibility Online』を自慢されたりなどもしていた。


 そして発売当日。


 時間通りに『Endlessly Possibility Online』を起動すると他のVRMMOのように意識が遠のいた。


***


 気がつくと草原にいた。


 辺りを見渡すと急に声が聞こえてきた。


『どうもこんにちはー!キャラメイクの案内をする妖精のキャメロンだよー!よろしくねー!』


 声が聞こえた方を見ると妖精が飛んでいた。


 その妖精は俺に近づいてくると話を始める。


『キャラメイクを始めてもいいかなー?』


「あ、ああ。大丈夫だ」


 俺が返事をすると妖精⋯キャメロンは腕を振る。


 すると俺の目の前にウインドウが現れた。


『基本的にそのウインドウでキャラメイクしていくよー!まずは名前を決めてねー!』


 そうキャメロンが言うとウインドウが名前の入力欄になる。


 俺はゲームでいつも使っている名前を使う。


「終わったぞ」


『へぇー!エトロウズ・ノウストカっていうのー?』


「ああ。エトと呼んでくれ」


『分かったー!次は種族を決めよー!自分で選んだりお任せもあるよー!お任せだとその人に合った種族をこちらで選ぶよー!』


 ウインドウが切り替わる。


 ウインドウでは沢山の種類の種族が出てきた。


 詳細を見れば簡易的な説明を見る事も出来た。


 強そうな種族には制限がついていたり成長がマイナス補正がついていたりするらしい。


 それでも最初から吸血鬼とか天使とか選べるのはいいな。


 だが俺は人間にするか。


 お任せも面白そうだが人間は得意不得意がなくて扱いやすい。


「人間で」


『はーい!次は性別を決めてねー!』


 またウインドウが切り替わる。


 情報が入力されるたびにウインドウが変わるようだ。


 少し面倒くさいな。


「俺は男だが女にもできるのか?」


『もちろーん!種族によっては女性だけだったり男性だけだあり無性もあるよー!種族によっては選べないってことだねー!』


「まあ、男で」


『次は年齢を決めてねー!』


 またウインドウが変わる。


「年齢?」


『年齢によってステータスの上がりやすさとかが変わるよー!人間でいえば若いと力が上がりやすいけど知力が上がりにくて、老いると技量が上がりやすくなるけど体力が上がりにくいだったりねー!』


「ほー。おすすめはあるか?」


『うーん。人間を選んだのは得意不得意が無いからでしょー?10代か20代がいいんじゃないかなー?10代だと体がまだ出来上がってなくてステータスが上がりやすい。20代だと体が完成していて安定しているよー!』


「ふむ。10代にするか。そうだな18ぐらいはどうだ?」


『18だと体はそこそこ完成しているけどまだ成長できるぐらいだねー!いいんじゃないー?』


「じゃあ、そうしよう」


『次は容姿だねー!とりあえず基本の人間の男の18歳を出しとくねー!』


 そうキャメロンが言うとウインドウが切り替わり、ウインドウの中に18ぐらい男が初期装備らしき物を身に着けながら映った。


 軽くウインドウを触ると髪の色や身長などを選べるようだ。


「キャメロン。作ったキャラで一旦動くことができるか?」


『勿論できるよー!したかったらいつでも言ってねー!』


 なら理想のキャラを作ってみるか⋯。


***


 ⋯まあ、こんなものかな。


 俺はウインドウを鏡のように使い満足気頷く。


 ウインドウには作ったキャラが写っている。


 その見た目は金髪赤瞳で貴族のような外見だ。


 ちょっと格好つけてみたが動いてみた感じなかなか良さそうなのでこれでいいとする。


「よし」


『終わったかなー?』


 キャメロンは俺が容姿を作ってある間、自分の前にウインドウを出して色々と操作していた。


 ウインドウの中身は見えなかったが遊んでるようには見えなかった。


 その姿は時間がある時に仕事をこなす社畜の姿に見えた。


 仲間意識を感じつつ返事を返す。


「ああ」


『じゃあ、これを渡して最後かなー?』


 キャメロンはそう言うと俺の目の前のウインドウを掴み宝石に変える。


 それに驚きつつキャメロンに質問する。


「⋯!⋯スキルやステータスの操作はないのか?」


 確かβテストにはあったと思うのだが。


 そう質問するとキャメロンは宝石を俺の方に投げつけながら答えた。


「ほーいと!ここでは開けないよー!ゲームが始まったら開いてみてねー!」


 キャメロンがそう言うのと同時に宝石が光り輝きいつの間にか俺は意識が遠のいた。


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