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最後の日

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 十二月二十五日。クリスマス。今日が、最後の日だ。

 彼からは「成功した」と伝えられている。目的は達成されたのだ。私の悲願は叶ったのだ。これで彼女は幸せになる。私のいる未来とは確実に違う道筋を辿ることになるだろう。――自殺なんて、しなくなるだろう。

 計画は完遂した。主人公とメインヒロインは結ばれて、物語はハッピーエンドだ。これで、大団円だ。

 ただ。

 まだ幕引きとは至らない。端役の自殺が、まだ終わっていない。終着点には――執着点には、まだ辿り着いていない。

 彼と彼女が結ばれるだけでは足りないのだ。最期の後始末を私がしなければ、あとがきには入れない。未来は、確定しない。


 病室で、診察室から帰ってくる古木君を私は待つ。彼に、伝えなければならないことがあった。しなければならないことがあった。私一人しかいない世界で、粛々と秒針の噛む音に耳を傾ける。日差しが心地良かった。未来よりも、ずっとずっと。

 柊さんには、先に帰ってもらった。この先に起こることは、きっと危険なことだから。忽瀬さんには、当初の取引の手筈通りに動いてもらっている。これから先に待ち受ける、希望であり絶望の結末のために。


 十二月二十五日。……本当に、偶然にしてはよく出来すぎていると思う。彼を救ってからちょうど三ヶ月の今日。私がいなくなる今日。とある事件が起こるのだ。

 それも、病的な彼女が起こす事件だ。

 病気を治す薬が見つかり、彼の調子が良くなったという情報を、病的な彼女が聞きつける。そして、おかしくなった彼女が――お母さんを刺し、未来を最悪な方向へと進ませる。

 そんな、事件が起こる。

 けれどお母さんは今日ここには来ない。私がそうなるように仕向けたのだから。したがって、ここに最終的に残る三人は、古木君と、忽瀬さんと、私だ。

 もう、私のすることも分かっただろう。

私がこれからすることは、そんな事件を、今を、未来を。

 ひっくり返すことだ。

「あぁ花凛さん。待ってたんだ」

ガラガラと扉が開いてやってきた古木君を、私は笑顔で出迎えた。


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