♯9 重犯罪者「聖徳心」
「あ、そうそう、家賃とかの話なんだけどー….」
「いや、何で住むことになってんの?」
スルッと住もうとする聖徳を俺は静止する。
「えー何でよ。住ませてよ!家ないんだよ!ホームレスなんだよ!可哀想だと思いませんか!?」とか猛抗議してきたが無視。
「て言うか他のとこじゃダメなの?」
「なんでそんなこと言うの!」
僕と聖徳が言い争っていたが、それに痺れを切らしたのか、エレキが「こうすれば良いんですよ。」と静かに言って、手で三角形を作ると、そこから紫の魔法陣らしき物が出てきて、エレキが、「即死光線」と唱えると、魔法陣の向いている方向に向けて、魔法陣から青白い光線が放たれる。
それを聖徳は軽々と避け、「この勝負に勝ったらすませてもらえるとかある?」と聞きながら、懐に忍ばせておいていたナイフを取り出し、エレキに襲いかかる。
しかし、エレキもおとなしくやられるわけがない。
銃剣を手に取り、1発聖徳に向けて銃を撃つ。
聖徳がそれを躱した。
そこでできた一瞬の隙を縫うように、聖徳がナイフでエレキに襲いかかる。
エレキも躱す。
エレキは剣で切り掛かりつつ、しっかりとした距離を保ち、相手が近づいてきたら銃で距離を取ると言うことを徹底している。
しかし、聖徳は銃で撃つときにできる隙を見逃さなかった。
聖徳はわざと撃たすために、近づき隙を見せ、間一髪で躱す。
そこでできた隙をつき、ナイフで襲いかかる。
が、エレキはわざと隙を見せたと言わんばかりに、余裕の表情でナイフでの襲いかかりを躱す。
お互いが躱しまくり、いつまで経っても減るのは時間とお互いの体力だけ。
僕は、自分とまるで違う世界を見ている気分だった。
(僕も、このぐらい強かったらいじめられなかったのかな)
2人の戦いをみて、僕は声には出さず、静かにそう思う。
(そんなこと考えても仕方ない!早く死ねるようにしないと!)
と内心思い、首をぶんぶんと振る。
「早く、世界を救わないと....」
僕はユリからもらった指輪を見て、そう思う。
(にしても、世界を救えって、フワッとしすぎでしょ)
僕は内心ツッコミを入れる。