♯7 崩壊Ⅱ
「えー。この度は、モンスターからみなさんを守ることができず、誠に申し訳ございませんでした!」
たくさんのカメラを前に、フォレストと、青と黄色の防具を着ている20代の女性が、頭を下げる。
「おいおい….何だよこれ….謝罪会見?」
「そ。恒例行事だよ。モンスターを壁の中に入れてしまったら、こんな感じで謝罪会見をするんだよ。」
僕の質問に、ファイアが答える。
ここは村の中にある教会で、俺達は祭壇の近くにあるカーテンに隠れて、祭壇で謝罪会見をしている2人を見ている。
「ふざけるな!俺は死にかけたんだぞ!」
「そうだ!俺だって!」
「私なんか娘がモンスターに襲われたわ!」
「罪を償え!」
「そうだそうだ!」
突然教会の中でデモが始まる。
デモは徐々にエスカレートしていき、次第に2人にゴミを投げつける者が出始めてきた。
「にしても、変な連中だな。」
「ん?なんで?」
僕の呟きに、ファイアが反応する。
「だって、フォレストたちが守ってくれないと、とっくに壊滅状態になってたじゃん」
僕の呟きにファイアが静かに言う。
「まぁ、死にかけた人だって出たんだ。今回奇跡的に死人は出なかったが、今回の件は、誰か1人が背負うには重すぎたんだ。例え10/1だけだとしてもな。」
そう言って、ファイアは続ける。
「それに、俺たちだって農家の方達が居なければ食べ物なんてないし、商人がいないと経済が回らないだろ?」
「確かに....」
僕は思わず声を漏らす。
そして、ファイアは続ける。
「まぁ、視界を広げてみると、案外そんなもんだよ。綺麗事みたいに聞こえるけど、本当に俺たちは支え合って生きてるんだ。」
ファイアが遠い目をして言う。
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「ふー。これで第一段階は終わりか。
まず、リインテリアルに隠れてモンスターを強化する。
そして、住民に軽い洗脳をかけてデモを発生させる。
これでこのまちは終わりに近づいている。
流石に、エレキ・ピックとフォレスト・ディケイがいるまちを放置するわけにはいかないからね。」
ある男が独り言を呟く。
そして、その男はため息をついて言う。
「はぁ。にしてもここらに居るはずなのにな。兄弟。」
そう言って、七篠玲の写真を男は握りしめる。