#5リインテリアル
「そういえば、レイ君は何か目標があるの?」
さっきの話がひと段落ついたところで、フォレストがそう聞いてくる。
「うわっ! もう日没だ! 」
ファイアがいう。
僕が答えようとしたところで、日没になる。
僕はタイミングの悪さを感じつつも、みんなについていくように壁の外へ出る。
「ピックさん。そういえば、他の所は大丈夫なんですか?」
エレキに僕はそう聞く。
すると、エレキからすぐに返答が返ってくる。
「ああ。それについては大丈夫です。兵士団の人たちが他のところ守ってくれています。
もっとも、兵士団は私たちと比べたら、蟻レベルですけどね。
そんな雑魚でも、数のおかげかなんとか守れているわけです。」
エレキの毒舌に火がつく。今回は、兵士団に対してだったので、今回は僕は大丈夫そうだ。
そんなやりとりをしていると、月が空に出てくる。
「最悪だ....」
ファイアがそう声を漏らす。
続けて、フォレストもファイアに続いて「うわ....」と声を漏らす。
出てきた月は、赤い下弦の月だ。
それを見て、エレキまでもが声を上げる。
「マジですか....蒼白の下弦の月とは....まだナナシノレイが来てから数日しか経ってないのに....運が悪いですね。」
みんな、深紅の満月の時より危機感が増している。
「そんなに危険なんですか?蒼白の下弦の月って。」
僕の疑問に、エレキが嫌そうにして答える。
「ええ、そうですよ。蒼白の下弦の月は、深紅の満月と同じく、特殊な夜で、1番モンスター....いや、敵と言った方が分かりやすいですかね。
が、1番少なく、危険度も低くなる夜なんですよ。」
そう聞くと、僕は拍子抜けする。
「じゃあ、深紅の満月より安全なんだ!」
「いいえ、違います。」
僕の淡い期待は、エレキの一言によって簡単に打ち砕かれる。
「基本的にモンスターは少ないし、危険度も少ないのですが、一種類だけ、そこに当てはまらないモンスターがいます。」
と言い、壁の外へ向かう。
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「早速出ましたね。アイツです。」
と言って、エレキがあるモンスターに向かって指を指す。
因みに、今回はエレキと僕、フォレストとファイアに分かれている。
エレキが指を指した相手は、木のような幹の足が1本だけあり、胴体の部分はなく、顔は木の棒や木の幹、葉っぱなどが集まって不規則に出来ていて、目は右に4つ、左に4つだ。
「うわ、何この気持ち悪い奴....」
僕は思わず声を漏らす。
そして、エレキがこのモンスターについての説明を始める。
「こいつは、リインテリアル。基本は地面に潜っていて、蒼白の下弦の月の時だけこのように地上に戻ります。
こいつは、周りの半径100メートルのモンスターの筋力、体力、回復力、知能など、戦闘に関わるもの全てを約10倍に跳ね上がらせます。
更に、こいつは不規則にビームを放ってきます。
そのレーザーにあたっても、外傷はありませんが、当たったものを操ります。更に、モンスターをそのままコピーすることもできます。
これで、蒼白の下弦の月の弱点、なくなりましたね。」
あまりの鬼畜度に、僕は絶句する。
しかし、僕は覚悟を抱き、ユリからもらった指輪に目をやる。
(もしかして、これを乗り切れば、死ねたりしないかな?)
僕は疑念を抱きながらも、死ぬ為に、そこら辺の木の棒を拾い、リインテリアルに向かっていく。