♯20 今すぐやめるんだ。
「おい。さっさと出てこい。居場所はわかってるんだ。」
というと、聖徳はミントくんの後ろにある茂みに手をっつこむと、黒い覆面を被った男を茂み引っ張り出す。
「ぐっ....テメェ何者だ?」
覆面男が、敵意に満ちた目で聖徳に言う。
それを聞くと、聖徳はすぐに疑問に対して答えを打ち返す。
「僕は君と違って、大犯罪者だよ。君と違って、"なりたい"じゃない。"なった"んだよ。
君はまだ1人も人を殺していないそうだね。まだ引き返せる。早く夢を見ずに、現実を見なさい。
貴方が大犯罪者になったところで、メディアが少し取り扱って匿名掲示板でスレッドがいくつか立てられるだけで終わる。
他の連中だってそうだ。君には仲間が4人いる。その人たちもまだ何も悪いことはしていない。」
そういうと、覆面男は途端に顔が青ざめる。
「なんで俺たちのことを知っている?」
そう聞かれると、聖徳は、どうとでもないと言う表情で言う。
「茂みの中で無線連絡してたのは気づいてたからね。それなら読唇術を使えば簡単に何を喋っているかわかる。」
すると、更に覆面男の顔が青ざめる。
"コイツはヤバい"と言うことに今更気づいたようだ。
覆面男は徐に無線機を取り出すと、仲間と思われる人たちに言う。
「おい!コイツはヤバい!今すぐ逃げー」
そういうと、聖徳はちっちゃいぬいぐるみを上に放り投げると、目にも見えない速さで覆面男を殴る。覆面男は、ふらふらしながら地面に突っ伏す。無線機を手に取ると、あの覆面男の声を完全に真似て、こう言う。
「あー。すまんすまん。前言撤回。コイツ余裕だったわ。この子供を捕まえて身代金が手に入れば、俺たち一生遊んで暮らせるぜ。
今すぐ俺のいる場所に集合してくれ。」