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男友達

作者: 夢野ありか

「あら、ヨウジじゃない」

「ナミ! 一人か?」

「ええ、ここに座れば?」

「ありがとう。えっと、オーダーしなきゃ。……すいません、ブレンドとモンブラン下さい」

「相変わらず好きね。甘い物」

「別にいいじゃん。今日は休日出勤で、なんだか疲れたし……」

「あら、それでスーツ姿なのね。大変ね」

「哀しい宮仕えの身だよ。……そういうナミこそ、こんな洒落た喫茶店で女が一人でお茶なんて淋しいよなぁ」

「別にいいじゃない」

「彼氏いない歴何年だっけ?」

「三年よ。ヨウジだって前の彼女と別れてからそれくらい経つでしょ」

「そうだよなぁ。でも、もうそういうことにピリオドを打つつもりなんだ」

「ピリオド?」

「実は、俺、結婚しようと思ってるんだ」

「結婚!」

「先日、親戚に勧められて見合いをしたんだけど、相手の娘に気に入られて、俺も満更でもないかなと思って……」

「……そう、それはよかったわね」

「喜んでくれるか?」

「当たり前じゃない。ヨウジは大事な友達だもの」

「そうか。ありがとう」

「今度、相手の人を紹介してね」

「ああ」


「……はい、もしもし」

「ナミ? 私よ、エリカ」

「ああ、エリカ」

「聞いたわよ。ヨウジが見合い相手と結婚を考えているって」

「らしいわね」

「らしいって、それでいいの?」

「……何が言いたいの?」

「あんた、本当はヨウジのことが好きなんじゃないの?」

「な、何言ってるの。馬鹿馬鹿しい。ヨウジのことはずっと友達として好きなだけよ」

「本当に?」

「そうよ。……じゃあ、夕食のカップ麺が伸びるから切るね!」

「ちょっと、ナミってば……」


「……ってことは見合い相手が元彼とよりを戻して、ヨウジはふられたってことなの?」

「そうなんだよ、ナミ。デートの最中に野郎が来て、有無を言わせずに彼女をさらってったんだよ!」

「ドラマみたいね」

「感心するなよ!」

「でも、式の当日にやられるよりもましよ」

「あのなー」

「そんなに落ち込まないでよ。そうだ、新作のケーキでも食べましょう。私か奢るから。……すいませーん、キャラメルムースケーキ二つ下さい」

「ああ、女性不信になりそう」

「何言ってるの。女は彼女だけじゃないのよ。……ヨウジのことを想ってる物好きな人が、どこかにいるかもしれないじゃない」

「どこかに?」

「案外身近にいるかも」

「うーん、大体が人妻か彼氏持ちばかりだからな」

「……そのうち分かるわよ」







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