フラグ8 Sフラグ1
合宿最終日の朝、皆のそのそと起きてくる。今日もいつも通り朝食を食べ準備をしグラウンドへ向かう。
今日は午前中に実戦形式の守備練習を行い午後はフリー打撃のメニューでその後自主練という流れだ。
今日は昨日の紅白戦もあってか1日目と比べ物にならないくらいゆったりとしている。フリー打撃まで終え、自主練に移ると俺は陽と共に自主練をすることにした。
「今年もやっと終わるな」
「そうね、特に今年は楽しかったなあやっぱり地元で合宿出来るなんて幸せだわ」
「すごいよね、ほんと偶然静岡で合宿やるなんて」
去年も同じ場所で合宿を行ったが2つ上もいたためそこまではっちゃけることが出来なかったため今年は有意義な時間となった。
2時間ほど自主練をしたところで集合がかかる。
「えーと、締めに毎年恒例みんなでベースランニング対決をします!とりあえず4チームにわかれて3年生4人でじゃんけんをして勝った順に選んできまーす」
俺は中盤ぐらいに呼ばれキャプテンのチームに入る。
同じチームには梅澤、陽、伊勢がいて、その他1.3年生がいる計10人だ。チーム内で順番決めをし足が速くも遅くもない俺は1番目となった。
特に何も無く難なく1周した。その後は着実に転ぶなどのアクシデントはなくアンカーのキャプテンへ渡った。最後まで1位争いをしていたが結果は2位となり昨日に比べたら少し面白味もなく終わった。
でも、なんとなくやり切った感じにはなった。
「はい、じゃあ片付けをして合宿所へ戻りましょう」
練習はしれっと終わったがこれは大学生の合宿だ。合宿のメインはこの後の飲み会である。
この後の流れは同じく風呂へ入り夕飯を食べ飲み会の前に洗濯を済ませる。
そして、皆が待ちに待った飲み会が始まる。
「はい!ということで皆さん大変お疲れ様でした!合宿最終日、明日は帰るだけなんで今日は飲んじゃいましょー!」
「うぇーい!」
「じゃあ、お疲れ様でした!かんぱーい!」
「かんぱーい!」
俺はお酒が強い方ということとお酒が好きということもあり楽しみだった。
開幕当初は陽と伊勢など同学年と飲んでいたが1.2時間もしてくるとカラオケが始まったり飲みゲームが始まったりし、俺も先輩たちのグループへ行ったりお酒が強いグループへ行ったりしていた。
3時間も経過してくると吐く者や寝てる者、酔いすぎて部屋に戻る者様々となり地獄と化し始めていた。
さすがにやばいと思ったのかキャプテンが前に出て
「はい、ちゅーもーく、一旦これで締めるんで片付けできるやつは片付けお願いしまーす。その後飲めるやつは合宿所に迷惑がかからない程度に飲んでいいのでお願いしまーす。ということで最後一本締めで、、よーっ」
ポン
「はい、じゃあ解散!」
俺は体質的にあまり酔わない体なので片付け班にまわる。
陽と伊勢はというとそんなお酒が強くないので少しふらつきながら片付けをしている。あれはこのあと部屋に戻って寝るだろうと思いつつ誰と飲もうかと考えていた。
考えているうちに片付けが終わった後数人残り、お酒が強いメンバーが残ったので少し経ったあと3年の部屋で飲むことになった。
3年生は大部屋ではなく数名ずつの部屋となっているので多少騒いでいても大丈夫だろうとの事でそうなった。
(とりあえずあったん部屋へ戻って皆の様子見てくるか)
と、思い部屋へ戻ろうとすると後ろからトントンと肩をたたかれた。
「サッサ、約束覚えてる?コンビニ行かない?奢ってあげるよ」
「覚えてるけど、ホームラン打ってないよ?」
「いーの、MVPなんでしょ私がいいからいいの」
「え、じゃあオネシャス」
「おっけーいこ」
そのまま2人で外へ出てコンビニへ向かった。
「合宿楽しかったねえ〜」
「そうだね、今回は特に楽しかったなあなんかMVPにもなっちゃったし」
「自分で言うんだ〜」
「いや!えっと、んーー違くて!なんか去年はあっという間に終わっちゃってもったいなかったっていうかなんかその、、よくわかんないけど楽しかったってこと!」
「うんうん、なんとなく分かるよその気持ち。私もねそういう時期あったんだ、こういうイベントごと以外でもなんとなく毎日が終わって全部なんとなくになっちゃうの。でもある時ねこれじゃだめだと思って、なんかさなんとなく生きててなんとなく死ぬのっていやじゃない?だからね毎日を一生懸命楽しく生きようって決めたの。でもそれってなんだろうって最初思ったんだよね。さて、ここで佐々木くんに問題です。一生懸命楽しく生きるってなんでしょう?」
「え、んーーーなんだろ」
「ぶー時間切れでーす。それはねなんでも全力でやることです!バイトも全力で働いて苦手な勉強でももちろんマネージャー業務もね、そしたら毎日が楽しくなってなんとなくが私の中から消えたの」
(さゆりにそんなことがあったんだ、常に笑ってる裏にはそんな過去があったんだ)
「はい!私の過去話は終わり、なんか話しすぎちゃった、、秘密だよ。」
「わかった」
「あ、コンビニあった!」
コンビニでは2人でアイスを買い食べながら合宿所へ戻る。
「やっぱ夏に食べるアイスは格別だねえ」
「夏だからな」
「あはは、そうかそうか」
そんなくだらない話をしながら帰っているとアイスを食べ終えたさゆりはスキップをしだした。
「暗いから危ねーぞ」
「だいじょうぶだいじょーぶ」
と言いながら躓き無事フラグ回収した。が、俺は咄嗟にさゆりの腕を掴んだ。
(あっぶねえ)
「ありがと」
「おい、しっかりしろ酔ってんだろ」
「んー、ちょっとだけね」
と、笑ってごまかしていたが俺にはとても綺麗に見えた。
俺もこの子のように楽しく生きてみてもいいかもしれないと思いつつその笑顔の本当の意味を知って好きになった。
その後合宿所に着き、さゆりと分かれスマホを見ると後で飲もうと言った先輩から「やっぱねる」の一言だけ連絡があり俺も寝ようとしたがさっきの出来事が忘れられない。
(え、まてまてまて好きなのか、いやでもこれは酔ってるからだ寝よう寝よう)
を5周くらいしてその日はようやく眠れた。