フラグ86 ヒロインフラグ0
2週間後
うわ、また冷蔵庫空っぽだ。夕メシの材料買ってこねえと。
期末試験も終わり、バイトもなく今日は夕方までアニメ見たりゲームしたりひたすらグダグダしていた。
食材を買うため適当に身なりを整えて家を出た。
にしてもこんな生活してっとダメ人間になりそうだなー。卒論もねえし、、いっそのことセルフ卒論でも書くか?題材はAllceanについて!とか、余裕で5万字ぐらい書けそうだな。ま、それは気が向いたらってのにして、夏だし夏っぽいことしたいなー。とりあえず海行きてえ、BBQもいいな。あとは、、ないな。とりあえず飲みだな。バイトメンツでBBQしたいなぁ、言えば歩が幹事やってくれそう。頻繁にみんなに会えるのも最後になってくるしバイトメンツで色んなことしたいな、朔斗も呼べば来そうだし。
なんかこうやって色んな人とやりたいこと考えられるのもみんなと出会えたからだもんな。高校の時の最後の夏休みなんて、、思い出したくねえ。
少し薄暗くなってきたのと夏独特のこの時間の気温に充てられて色々考えているうちにスーパーに着いた。
今日も野菜炒めとかでいっか、月20回とかバイト入ってると食材あんま使わないし、今日のうちに消費できるもんとか長持ちするもんで。
あ、あの後ろ姿は、、
「わ!」
「たかとさん!?」
スーパーで偶然歌乃と会った。
「ういっすー、なに?かいもん?」
「そうですそうです。びっくりしました〜、なんか前にもこんなことありましたね」
「ごめんごめん、たしかにあったねえ。今日も夕飯の買い物?」
「はい!今日は簡単野菜炒めにしようと!」
「あ、おなじだ」
「気が合いますね!簡単に作れてお米も進むのでいいですよね!」
(反応が安定すぎる)
「期末試験はどう?終わった?」
「はい!昨日終わって夏休みです!」
「お!いいねー!おつかれさんってことでせっかくだからアイスでも買ったるよ」
「あ、いや、えっとじゃあお言葉に甘えてありがとうございます」
(なんかアイスに縁があるな)
俺と歌乃は自分たちが買いたいものを買い物かごに入れるとアイスコーナーへ向かった。
「たかとさんは何にしますかー?」
「なんかやっすい棒アイスでいいかなー」
「えぇー」
「いや普通に棒アイス好きだし、歌乃は好きなの選びな」
「じゃあ私も棒アイスにします!」
「気ぃ使わなくていいのに」
「いや使ってないです!っていうのも変ですけど、でもちょっと吟味させてください!」
「どうぞ〜」
すると歌乃は数分悩んで他の棒アイスに決めてお願いしますと言いながら俺の買い物かごに入れた。
会計を済ませてアイスを渡して俺は帰ろうとしていた。
「それじゃ」
「あ、えっと、アイス!を食べながら少し歩きません?」
「いいけど」
アイスを食べながら適当に10分程度歩きながら期末試験のことや最近の部活の事などを話していると、いつの間にか堤防に来ていた。
「わたしこの時間のここからの景色好きなんです。東京ですけど、少し田舎っぽさもあって地元を思い出すのと、おうちに電気が点いていくのがそれぞれの生活があってそれぞれの人生があっていいなって」
少し風が吹いて髪を耳にかけながら歌乃はそう言った。
その歌乃の姿は、以前悩んでいた姿なんて嘘のように逞しく見えた。
「うん、そうだね。俺もこういう景色は好き。よく来るの?」
「はい!」
笑顔でそう返事をした歌乃の姿は輝いてみえた。
「前に少し悩んでいる時に、たかとさんに悩みを聞いてもらったあの次の日です。まだ少し引っかかることがあって、気分転換で散歩していたらここに来て、その時に悩みなんて吹き飛んで自分は自分の人生を信じて生きていけばいいんだなって思えたんです」
「うん、そうだね。20歳でそう思える歌乃はすごいし素敵だと思うよ」
「えへへ、褒められちゃった。ありがとうございます!」
歌乃は少し照れながらお礼を言って、少し間を置いてから話を続けた。
「たかとさんは、あと数ヶ月もすれば卒業ですね。私はあと2年ありますけど」
「そうだなー、なんか早かったなあ」
そう返答すると歌乃は立ち止まり、その時、俺のアイスが地面に滑り落ちた。
「なんか寂しいですね」
「そう、だね」
俺は振り向いてそう返すと歌乃は悲しげな顔をしていた。が、決意をしたように口を開いた。
「あの!わたしは、、えっとその、、」
と歌乃が言いかけたが俺はそれを遮った。
「俺は、、」
2週間前、俺は断るにしても先に告白してくれた実菜に返事を言うのが筋だと思った。
「俺は、実菜とは付き合えない。ごめん。伝えてくれて嬉しかったけど、ごめん」
「そうですか、分かってましたよ。歌乃が好きなんですよね?」
一瞬、実菜の顔が曇ったが、無理やり口角を上げたようにそう言った。
「え、」
「分かりますよ私がたかとさんのこと好きだからとかもありますけど見てれば分かります。きっと、、いやなんでもないです」
「じゃあそういうことなので帰りますね」
「ああ」
「あ、気まづくなるとかやめてくださいね、あと早く行動しないと私がどんどん攻めていきますから」
実菜は俺に指をさして、得意気にそう言って去っていったが、少し目に涙を浮かべているように見えた。
そして現在に戻り
「俺は、卒業しても歌乃に会いたい。。一緒に色んなところに行って同じ景色を見たい」
「はい」
俺と歌乃は目を逸らさず、互いの目を見ていた。
「好きです。付き合ってください」
そう告白して俺は頭を下げて手を差し出した。
「、、、」
俺の視界には歌乃のアイスの棒が地面に落ちていることだけが見えており、数秒返事がなく顔を上げて見ると、歌乃は涙ぐんでいた。
「ごめんなさい、嬉しくって、、、はい、お願いします」
そう言って歌乃は俺の手を取ってくれた。
手を取ると、歌乃は涙に濡れた頬を震わせながら咄嗟に自分の額を俺に押し当てた。
一瞬どうしたらいいか固まっていたが、歌乃の頭にポンポンと手を置いた。
「おれもうれしいよ。ありがとう」
「こちらこそです、、!」
こうして7月23日に俺、佐々木貴翔と中川歌乃は付き合った。




