フラグ82 人生の夏休み到来
歌乃とのことがあってから数週間後、季節は梅雨の6月になっていた。バイトでもちょくちょく会ったりするが、基本的に今までと変わらずだった。
今日もバイトだと息巻いた午後、ガコンとポスト受けに何かが入る音がした。
てきとーな広告かな。ってこれ!面接受けた会社からだ!
少し期待して開けてみると、こう書かれていた。
佐々木貴翔様
内定決定おめでとう。当社の社員として精進されたし。
これって、内定もらえたってこと!?まじで!こんなあっさり。
と、とりあえず親に電話!
そう思って、スマホを見るとさらにメールが来ており、もう1社受けたところも内定通知が来ていた。
いきなり2社も!?
親に内定をもらえた報告をし、とりあえずどこにするか、並行して受けていた会社の選考を辞退することにした。
うーん、メールで来た方は賞与なしで、Allceanの結成日に受けた方の賞与は業績によるか、まあなくはないからこっちだよな。Allcean結成日ってこともあったし。よし!それでいこう!
メールで来た方は電話して辞退するって言っておくかー。気が進まねえ。
よし!辞退の電話もしたし、これで就活終わりやー!バイトいこバイト!
ウキウキで自転車を漕ぎ、バイト先へ向かった。
今日は歩の代行日でバイト先へ行くと歩がいた。
「うっすー!」
「はよっすー。なんかテンション高いっすね」
「就活終わりやした!」
「まじすか!よかったっすね!これで遊び放題ですね!」
「まじさいこー!着替えてくるわ」
「行ってらっしゃい」
すると着替えている時に歩の話し声が聞こえた。
「たかとさん就活終わったらしいよ」
「まじ!祝ってこなきゃ!」
そうして楽屋に入ってきたのはゆうとだった。
「たかとさん内定おめでとうございます!」
「おー、さんきゅー」
その後、シフトに入っている子が来る度に歩がその報告をして、次から次に祝われた。さすがにここまでくると恥ずかしい。おそらくそういうのを狙ってあいつは言っていると思うのだが。
営業開始して今日とてキッチン。暇な時間さえあれば今後どうするか考えていた。
修飾先決まったはいいものの、遊ぶっつったって何すっかなー。決まってることといえば京まふにユニットライブ、とはいえだいぶ先だしなー。毎日のようにバイトして、単位もいまのとこ大丈夫そうだし、前期が終われば本格的にやることなくなっちまうもんな。とりあえず103万までバイトして帰省してニート生活するしかないし、なんかなーいまできることやりてえな。卒論もないとないでこんなに暇なのか。
そんなとき隣にいたゆうとが話しかけてきた。
「たかとさんはこれから旅行とかしちゃうんですか?」
「旅行ねえ、したい気持ちはあるけど金がなぁ」
「そんなないんですか?」
「いや、なくはない。けど奨学金も返さんといけなくなるから貯めときたいんだよなあ」
「利子とかかかるやつなんですか?」
「いや、親が一括で返して親に借金するかんじ」
「なるほど!それなら多く払う必要ないですね!」
「まじなにすっかなあ」
「悩みますよね」
「彼女とかいれば変わってくるんだけどなー。そんなもんできる気しないし」
「ゼミとか入ってないんでしたっけ?」
「入ってないねえ。大学でのコミュニティ部活しかなかったしなー。あとバイト」
「たしかにいまさらってかんじですね」
「ま、そんときそんときやりたいことやりゃいっか」
「ですね!」
だらだらしつつあっという間に20時になり、実菜が賄いを作りにキッチンに入ってきた。
「実菜はもうバイトには慣れた?」
「少しずつですけどなんとか」
「よかったよかった。ゆっくりやんな、同じ歳も多いことだし」
「ありがとうございます!たかとさん改めて内定おめでとうございます!」
「急だな、ありがとう」
「今度お祝いしましょう!Allceanのグッズがいいですかね?笑」
「いやいやそこまではいいわ笑」
「じょーだんです笑」
「ちなみに貴翔さんってまだ単位残ってるんですか?」
「一応残ってるよ。8単位だけど」
「なんか意外です。きっちり3年まででとっているものだとおもいました。」
「いやおれそんな真面目じゃないよ。好きなことしかできないし勉強嫌いだし」
(好きなこと、、か)
「?」
「あ、いやなんでもない」
(そうだ、もう決めたんだ。俺がこの選択を合ってる道にするんだ)
「実菜はどういうところに行きたいかとか決まってるの?」
「あんまりです」
「そうだよね」
「たかとさんは決まってたんですか?」
「2年のときはまだだったかなー」
(2年の5月か、そういや愛衣が入ってきたのもこの時期だったっけ。拗らせてたなぁ、あのときは)
「たかとさんでさえそのとき決まってなくて、今が楽しそうにしてるんで大丈夫な気がします」
「なんで基本設定おれなん?」
「なんとなくです!」
「実菜って料理上手いら?」
「え、なんでですか?」
「なんか手際が」
「そんな作ってるとこなんてみないでくださいよー」
「ごめんごめん」
「自炊もしますし、実家にいた時もそれなりにしてましたけど、わかるものですか?」
「んーなんとなく?」
「なんとなく返ししないでください笑」
「口癖みたいなもんだから許して笑」
「県民性なんですかね?」
「んなわけねえだろ笑」
とまぁ今日のハイライトはこんなもんで、来店は少なかったし何事もなくバイトが終わり、いつも通り同じ方向の人と帰った。
いつも通りの日常、いつも通りの楽しい日々。
それもあと1年足らず。
今日もアニメみますか。




