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フラグ81 Kフラグ4

5月12日、歌乃と2回目のデート(?)の日。今回は家の最寄り駅で待ち合わせをした。

というのも、電車の中は物理的な距離が近いので少しでも脈アリに近づけようとした魂胆でそうした。

(てか、居酒屋行くだけでよかったのか?なんか映画とか見て居酒屋行った方が良かったんじゃ、、もう遅いけど。お、あれかな?)

改札前で待っていると歌乃が走ってくる姿が見えた。

「すみませーん!はぁ、はぁ、遅くなりました!」

「いや全然!19時集合の5分前に来てんだから」

「いや、先輩を待たせるなんて、、」

「大丈夫だから息整えて」

「すみません、、ありがとうございます」

歌乃の服装はというと、デニムにノースリーブのシャツと透け感のあるブラウスと黒のカバンとなっている。居酒屋に行くようなラフな服装の中に少し暑くなってきたこの時期にぴったりな春っぽさも兼ね備えた実にオシャレな服装だ。

「服になにかついてます?」

「いや、別に」

「走ってきたんでなにか変なところでもあったのかと、、もう大丈夫です!いきましょう!」

俺と歌乃は電車に乗り、座ることができたので隣同士に座った。

「今回も予約ありがとうございます」

「いえいえ」

「それにしても同じところ候補にしようとしてたなんてほんと偶然ですね!」

「いやまじでそれな!さすがに疑ったわ笑」

「ほんとですよ!!」

「ごめんごめん笑」

「たかとさんっていつもどうやってお店探してるんですか?」

「今回は中央線沿いかなって思ってそれで料理とか雰囲気とかみながらかなー」

「わたしもおなじです!あとわたしはSNSみてたらまわってきたお店をメモってたりもします!」

「さすが!食に関しては本気度が違うね〜」

「うわー、いじられてる笑」

「ソンナコトナイヨー」

「なんですかその棒読みはー」

「それはそれとして置いといて」

「置いとくんだ」

「そろそろ1年生も練習参加しだすら?上手いやついた?」

「それはまあいますね」

「なんでうちは上手いやつが入ってくるんだろうね〜」

「たかとさんの1つ上の方たちも上手かったんですか?」

「そうだね、全国も行ってるし。うちの学年みたいに運で行ってないからね笑」

「運だなんて、そんなことないですよ」

「あ、まあピッチャーはよかったしそれだけだなー」

「いやいや、たかとさんもですけど梅澤さんも義希さんも陽さん伊勢さんだって上手いじゃないですか」

「ちゃんとおれも入れてくれてんのね。ありがとう」

「いやいや、リーグ戦打ちまくってたじゃないですか!」

「そういえば、歌乃が入ってからよく打つようになったかもな〜。2年の秋リーグは梅ちゃんが怪我で出れなかったから出てたけど散々だったし」

(色々あったからってのもあるけど)

「そんなこともあったんですね」

「もう懐かしき思い出だけどね。と、乗り換え乗り換え」


電車を乗り換えて中央線に乗ったのだがかなり混んでいた。

「ちょうど帰宅ラッシュにハマったな、大丈夫?」

「大丈夫です。ありがとうございます」

(距離近くなるとは思ってたものの近すぎねえか。なんかシトラス系のめっちゃいい匂いするし、冷静にAllceanのキャストとメンバーを頭の中で言っていこう。月島歌恋役の西本菜月、望月潮音役の鈴瀬時音、、じゃねえだろ、これ頭ん中で考えてる時点で冷静じゃねえ)

悶々とした中で電車に揺られること数十分、やっとお店の最寄りに着いた。

「めちゃ混みでしたね」

「社会人になったらあれ経験しないといけないかもなのか」

「いやー、それは大変すぎますね」

「もうあれだけでストレス溜まりそう」

「たしかに、地方民にとってはあんな混むこともないですもんね」

「まあまずそもそも電車に乗らねえもんな」

「ですね」

「歌乃って運転免許もってんの?」

「持ってますよー、こっち来る前に取っちゃいました〜」

「歌乃の運転、、」

(飯とか店に夢中で事故りそう)

「なんかいま失礼なこと想像しました?」

「べ、べっつにー」

「こっち見て言ってください」

「あ、ほらあそこだ店!」

「また話逸らされた〜」


「いらっしゃいませー、何名様ですか?」

「2名で予約している佐々木です」

「佐々木様ですね、、こちらへどうぞー」

店員さんに案内されるとそこはカウンター席だった。

(カウンター席かよ!ちゃんと見てなかったな、テーブル席にしてもらえばよかった)

「荷物入れは足元にあるのでお使いください」

「はい、ありがとうございます」

「雰囲気いい感じのお店ですね〜」

「だね!」

鞄を荷物入れに置き、メニューをふたりで見た。

「最初は何にする?」

「そうですねー、無難にレモンサワーにしときます」

「おっけー、食いもんは歌乃のセンスでいいよ」

「センスですか!まかせてください!」

「あ、おれ飲む時あんま食わない人間だから」

「わかってますよ〜、何回飲みの場に一緒にいると思ってるんですか笑」

「たしかに」

「でもポテトは必須なんですよね?」

「よくわかってらっしゃる。とりあえず飲み物とすぐ出てきそうな、塩キャあんのでかいな、それでいくか」

「はい!」

「すみませーん!」

「お決まりですかー?」

「えっと、生とレモンサワーと塩キャベツとフライドポテトください」

「はい」

「以上で」

「はい、失礼します」

「じゃあゆっくり吟味しててよ」

「はい!」

歌乃は返事をしてメニューを見ながら話を続けた。

「たかとさんって嫌いな食べ物ありましたっけ?」

「一般的なものは食べれるよ。歌乃は?」

「わたしもそうです。あ、しめ鯖いいですね」

「あり」

「あとはー、だし巻きもいいですね。刺身もいきましょう!」

「いいねいいね!」

「一旦このくらいにしときましょう!」

「一旦ね」

「一旦です!にしても居酒屋さんって白米ないのが難点ですよね」

「わからなくはないなー、まあがっつり飯食うところでもないからね」

「たしかに!」

「失礼しますー、生とレモンサワーと塩キャベツとポテトフライです」

「ありがとうございます。追加の注文もいいですか?」

「はい」

「しめ鯖と、だし巻きと、刺身のこの盛り合わせください」

「はい、以上で大丈夫ですか?」

「はい、お願いします」


「そんじゃ、20歳おめでとう!かんぱーい!」

「ありがとうございます!かんぱーい!」

(やっべーうめえ!友達と飲むのもたまんねえけど、女の子と飲むのもたまんねえや。しかも好きな子と)

「沁みてますね〜」

「最高のひとときだよ笑」

「ビールかぁ、飲める気がしないです」

「飲みたくなったら飲めばいいんじゃね、夏は美味いぞってことは言っとく」

「じゃあいま飲みたくなったんで少し貰ってもいいですかー?」

「いいけど、はい」

「んー、お、おいしいです」

「まだだめみたいね」

「にがいです〜」

「そんなもんそんなもん」

「わたしのレモンサワーも飲みます?」

「じゃあテイスティングしよう笑」

「なに言ってるんですかー笑」

「あー美味いわ」

「美味しいですよねー。この前、さゆりさんと二葉さんに誕生日祝ってもらって飲みに行って、いまいちどれがいいかわからなかったんですけど、たかとさんのおすすめのお酒ってありますか?」

「そうだなあ、いまはビールとレモンサワーばっかだけど最初はカクテル系ばっか飲んでたよ」

「カクテル系というと、カシスオレンジとかピーチウーロンとかですか?」

「さすが!正解!ハンディ使ってただけあるね笑」

「どんな味なんですか?」

「甘い感じかな」

「なるほど、甘いの好きなんでいけそうな気がします。さゆりさんも二葉さんもお酒強いので、たかとさんと同じようなラインナップでした笑」

「あーまあたしかに」

「それにそのときはがっつりお酒飲むって感じでもなかったので」

「誕生日会ならそうだね笑どんなお店だったの?」

「イタリアンに行きました!」

「うわ!めっちゃいいじゃん!ピザ食べた?」

「食べました!マルゲリータとなんか美味しいの食べました!」

「美味しいのってなんやねん、だいたい美味しいやろがい笑」

「さすがのツッコミですね!笑」


「失礼します。しめ鯖と、だし巻きと、刺身の盛り合わせです。」

「ありがとうございます」

「出揃いましたね〜」

(目が輝いとる)

「どうぞたんとお食べ」

「親かなにかですか笑」

「先輩だしね笑」


賄いの時に見たいに食べる時間をとって、俺はとりあえず飲み続けた。落ち着いた時に歌乃が話を振った。

「気を悪くしたらすみません。あの、就活ってどうですか?」

(なんかどこかできいたことのある話の入り方だな)

「全然大丈夫!それがさぁ、制作会社は応募したところ全部落ちちゃっていまIT関連のとこ受けてるよ」

「そうだったんですね、、」

「ま、そう上手くはいかないってことだね」

「たかとさんって、誰に対しても本心隠したがりますよね」

「え?」

(おれってそんなにわかりやすいんかな)

「あ!すみません!そういう意味で言った訳じゃなく、弱いところを誰にも見せないなーって思って、、無理にとは言わないんですが、私にぐらいは、、あ、じゃあ誕生日ということで、お願いで少しだけでいいので弱音吐いてください!」

「えーー」

(かっこ悪いとこみせたくないし、それで嫌いになられても、、でも歌乃はたぶんそれで距離置くような子じゃないよな、自分が好きな子を信じられなくてどうする!)

俺は残っていたレモンサワーを飲み干し、思ってることを言った。

「ほんとに悔しい!まじで!ほんとは制作やりたいけど、今後のお金のこととか色々考えると安定をとるのも間違ってない!けど、今を楽しみたいし、自分の進む道は間違ってないって思いたい!」

「大丈夫です。貴翔さんはちゃんと1日1日を大切にしてます。間違ってないです。私が悩んでいた時、貴翔さんがそういう気持ちごと楽しんでみるって、かけてくれたこともあっていまやれています。大丈夫です。貴翔さんならやれます。この先どんなことがあろうと」

こういうところに惹かれたのだろう。歌乃は真剣な目をして真っ直ぐに伝えてくれた。

「ありがとう。ほんとに」

「いえ!」

そう言って歌乃は眩しすぎる笑顔を見せてくれた。



その後はお互い少し恥ずかしかったのか、微妙な空気感になったが、徐々にお酒も入ってくだらない話もして、いわゆるいい感じになった。

「ありがとうございました。ごちそうさまです」

「ありがとうございました〜」

「あれ、もうお会計しました?」

「したした」

「いくらでした?お金を」

「いやいまいいよ。とりあえず帰んぞ」

「えー、絶対払いますからね!」

その時、歌乃が少しよろけて後ろから来た自転車にぶつかりそうになった。

俺は酔っていたのもある。理性が少し飛んでいたのもあると思う、普段じゃ嫌われるのが怖くてヘタレでできないが、自然と歌乃の肩を自分の方に寄せていた。

「あっぶねー大丈夫?」

「はい、すみません」

「じゃあ駅いくぞ」

「はい」

そう言って俺は歌乃を離したが、手と手が触れて自然と手を繋いだ。お互い何も言わず、何も話さず、電車に乗り、その後も手を繋いだままだった。

そして、乗り換えの駅に着いた。電車に揺られたせいで酔いが回ったのか、歌乃が喋りだした。

「あれ?もうのりかえですかー?はやいですねー」

(さっきといい、ちょっと飲みすぎてんな)

「ちょっと水買ってもいい?」

その時に初めて手を離した。

「いいですよー!たかとさんがお酒飲んだ後に水飲むなんて珍しいですね!」

ガコン

「ほれ」

「わたしにですか?」

「ちょっと飲みすぎてんだから飲んどけ」

「えーじゃあいただきますぅ」

そして、電車に揺られること数分。

「ついたー!第2の故郷!」

「はいはい」

「たかとさん!あの、よかったらカラオケ行きません?」

「はい?」

「カラオケですよ!カラオケ!歌いたい気分なんです!」

(これ断った方がいいやつか?試されてる?それとも本当にカラオケ行きたいだけか?)

「いやー、帰った方がいいんじゃ」

「明日なんかあるんですかー?」

「いやなんもないけど」

「わかりました!わたしひとりでいきますよ!」

(さすがにこの状態でひとりでカラオケは色々あぶねえだろ)

「あーもうわかったわかった、いくから」

「さすがです!」

(これ酔ってんだよな?演技だったら本当に人間不信になるぞ)

俺と歌乃は最寄り駅の近くのカラオケに向かった。


「いらっしゃいませー、2名様ですか?」

「はい」

「お時間どうされますか?」

(まあ2時間ぐらい歌えば気が済むだろ)

「2時間でおね、、」

「フリータイムで!」

「おい」

「たかとさん、わたし歌う気しかないんで大丈夫です」

「どうされますか?」

(ああもう)

「フリータイムで」

なんだかんだでフリータイムにドリンクバーを付けて、飲み物を汲んで部屋に入った。

「じゃあセッティングしちゃいますね〜、採点は付けるでいいですかー?」

「全然いいよー、さんきゅー」

「あーい」

歌乃はなれた手つきて採点を付けて、選曲をしている。

「あ、私から歌うでいいですか?」

「いまさらすぎんだろ、いいよいいよ」

「ごめんなさーい。あ、たかとさんも好きな歌歌っていいですからね!アニソンでもなんでもどんとこいです!」

「わかったわかった。歌乃も好きなだけ歌いな」

「まかせてください!」

(とは言ったもののこういう時ガチガチのアニソンは歌えねーんだよな。しかも歌乃の前だしなおさら、でもこういう時用の曲は何曲かあるし最近のアニソンはJpop寄りだし、その手札でいくか。なくなったらAllcean召喚するっきゃねえ)

「じゃあ先頭バッター中川歌乃いきます!」

そう言ってノリノリで歌い始めた。しかも初っ端恋愛ソングを。おそらく十八番なのだろう。俺は選曲しようとしたが、歌乃の歌声に聴き入ってしまった。


というのも、中川歌乃の歌声は人を寄せつける歌声をしていた。聴いているだけで元気をもらえるような前を向けるような、ただ上手いだけじゃないそんな歌声をしていた。


歌乃と俺と交互で歌い小休憩を挟みつつ、ひたすら歌い続けること約2時間半。

「ふぅ〜、なんかちょっと酔いも覚めてきました」

「それはよかった」

「なんか色々迷惑かけてたような」

「いまになって恥ずかしくなってきたか笑」

「はい。あの、、」

「ん?」

「恥ずかしさついでに聞いてもいいですか?」

「なに?改まって」

「たかとさんって、その彼女とかはいないんですよね?」

(なにその質問!何年かぶりに聞いた気がするわ)

「いたら歌乃とこうして一緒に出かけたりしないね〜」

「そ、そうですよね。彼女いたことは、、?」

「あーもうだいぶ前にいたね〜、高校のときに」

「それって同じ趣味の人とか、?ですか?」

「いや、まあアニメ見る人ではあったけどそこまでだったかなー。野球は好きだったと思う」

「そっか、なるほど。なるほど」

(なんかめっちゃ聞いてくるな、これおれ聞いてもいいやつなんか?酒の力も借りたい気分だけど手元にないし、それできくのもなんかずるい気がする)

「じゃあ歌乃は?」

「わたしですか!?わたしは、わたしも高校のときいました」

「どんな人だったの?」

「どんなひと、、そうですね、優しくて頼りになって誰とでも仲良く接してるような人でした」

(おれとは正反対やないかーい!オワタオワタ)

「そりゃ好きになっちゃうね」

「でも、気持ちのすれ違いというか、それで喧嘩しちゃってって感じです」

(そこはおれと同じなんだ)

「ま、高校生なんてそんなもんだよね」

「ですね。たかとさんはいまその、就活で忙しいとは思うんですけど、彼女はほしいですか?」

「んー、まあほしいにはほしいけど、、ま、いたら毎日が楽しくなるかもね」

「それは間違いないですね!!」

そう言った歌乃は嬉しそうな楽しそうな顔をしていた。俺は彼女に見蕩れていたせいかなんなのか、歌乃は?と聞くのを忘れてしまっていた。

プルルルルル

数秒静まり、部屋の電話が鳴った。

(びっくりしたぁ、フリータイムだけどなんだろ)

「お待ちのお客様が出てしまったので退室の準備をお願いします」

(あーなるほどね、逆にちょうどよかった。ナイスたぶん大学生)

「はい、わかりました」

「よろしくお願いします」

「どうしました?」

「待ってるやつが出たから退室してって」

「3時間経ってますししょうがないですね。最後に1曲歌ってもいいですか?」

「いいよ!」

歌乃が最後に選曲した曲は恋愛ソングだった。

楽しそうに歌う歌乃の姿が俺の目に焼き付いた。こんな風に歌乃と過ごせたらきっと楽しいんだろうなと聴きながら俺は思った。




俺と歌乃は支払いを済ませて外に出た。

「いやーだいぶ歌っちゃいましたね〜」

「満足そうでよかったよ」

「付き合ってくれてありがとうございます!あとでお金送っときますね!断ったら倍送り付けますから!」

「わかりました。受け取らせていただきます」

「よろしい」

そんなやり取りをして俺と歌乃は笑い弾けた。お酒も多少残っているせいかこんなくだらないことでも数分は笑い続けた。

「さ、さすがに調子のりましたぁ」

「いやいいよ、たのしかったらおもろかったらそれでいい!」

「間違いない!」

「それしか言わんやん!」

「だっははー!さすがです!」

「なんか長い1日だったね」

「はぁ、はぁ、ですね」

「まだ笑っとんのかい」

「楽しすぎてもう、、あ、そこ曲がりますよね?」

「今日は近くまで送ってくよ」

「じゃ、じゃあもう1本先までお願いします。そしたらもう10秒とかなんで」

「おっけー。なんか長い1日だったわー」

「なんかすみません、色々付き合わせちゃって」

「何をいまさら、それにそういう意味で言ってないよ?楽しすぎて一瞬だったってこと!」

「わたしもです!もう12時間近く一緒にいるんですよね!そんな気しないぐらい一瞬で楽しかったです!」

「ま、合宿はもっといるんだけどね」

「ふたりでって意味ですよ〜」

「あーねあーね。それにしても歌乃って素はこんな感じなのな」

「そうですよー、意外でした?」

「まあ少しは?」

「なんで疑問形なんですか笑」

「歳上とはこんな風に話してるイメージなかったし、萌香とかと話してるのとも違うし」

「それはたかとさんの前だからかもしれないです」

「それはちょろいからって意味だろ」

「違いますよ。それは、、」

「それは?」

「と、ここまでですね。もう家そこなんで。ほんっとうに楽しかったです!今日は?ありがとうございました!」

(なんだそれ、ちょっと期待したわ)

「俺も楽しかった!そんじゃ気をつけてってももうそこか。またバイトで!」

「はい!」

俺は歌乃に背を向けて自分の家へと歩き出した。

数歩歩いて歌乃がいるかと思って振り返った。

するとまだ歌乃はそこにいて、振り返った事に気づくと手を振っていた。

(あれ、これって告る雰囲気だよね?だって今日手繋いだぞ、でも家の前で?ここで?いま?ほんとに?でも酒入ってるし一応、でもまた今度って言いきせて何回失敗した?いまだよな)

その一瞬で高校の時に付き合った当時のことを思い出した。あの時はRINEで付き合おうと言ってなんとなく自分で納得いかなくて、結局だめになった。こういうのは勢いだけじゃたぶん後々後悔することになる。

そう思った俺は歌乃の方へ歩き出そうとした足を止め、手を振り返して、再び自分の家へと歩き出した。

頭の中は真っ白で気づいたら結構歩いていた。

やっぱりあそこで告るべきだったか、またこうやって誰かにとられるのか、選ばれない人間になるのか、いまから、、は絶対ないよな。

ほんとになにに関してもタイミング悪いな俺。あーもうめっちゃ楽しかったのに後味悪い!もう帰って寝よ寝よ!

自分への怒りと後悔の中、5月の少し肌寒い夜を歩いて帰ったのだった。

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