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フラグ7 紅白戦!

合宿2日目。各々準備をし朝食を食べ終わると今日の練習メニューについて連絡があった。

「今日は1.2.3年生の総当たり紅白戦を行います。オーダーは各学年で話し合って決めてください。以上です」

皆一気に目が覚めた感じだった。各々部屋に戻り梅澤が皆早めに準備して少しミーティングしようと言い、そそくさと準備をする。

「皆準備出来たか?」

「おけー」

「よし!もちろん今日は全勝する気でいるよなあ?」

「もちろんだ!」

「1年はともかく3年もぶっとばすぞ!ってことでそれだけ笑。オーダーは試合前に発表するんでよろしくな」

「了解です!」

「じゃあ張り切っていきましょう!」

「よーし!」

さすが梅澤だと思った。いつも通りであり士気を高めみんなをやる気にさせている。

昨日と同様にバスに乗りグラウンドへ移動する。その後とりあえずアップからキャッチボール、ノックまで行い一旦集合がかかる。

「ってことで試合順はどうせ総当りなのでこんな感じで決めました」

(ええと、最初は1年×3年、次が1年×2年、2年×3年)

「って3年生だけ連戦ないじゃないですか!」

2年生総動員で意見を述べる。

「それは年功序列だよ」

(まあ分かってたけど)

「さ、とりあえず1年と3年は準備しよう!30分後試合開始で!」

1年と3年は準備をし、2年は審判をやることから先にオーダー発表することになった。

しかし俺はスタメンではない、なぜなら梅澤と同じポジションで梅澤は現在(1つ上の代で)レギュラーだからだ。

すると梅澤から

「サッサは1年とやるときは代打で3年生とやるときはスタメンでいくから準備よろしくな」

「りょーかい」

とりあえず1年生とやる時にスタメンじゃない5人でじゃんけんを行い審判決めをする。

俺はたまたま勝って審判を免除することとなった。

「たまには勝つんだねえ」

たまたま見ていたのか飲み物を作っていたさゆりが話しかけてきた。

「やかましいわ」

「今日は運がいいらしいからホームラン打ったら特別に何か奢ってあげよう」

「いや、運は関係ねえだろ。でも絶対だぞ」

「いいよ、約束したげる」

と、さゆりはなぜか得意気だった。

そのとき周りから危ない!と声がするとボールが飛んできた。

(あっぶね)

さゆりに当たるギリギリのところで俺が捕った。

「すみません!」

1年がアップ中に暴投してしまったらしい。

「あ、ありがと、、、今日はやっぱ冴えてるねえ、、」

「うっせえ」

さゆりが何やら少し照れくさそうにしていた。その後、陽から審判やらないなら一緒に試合見ようぜと声がかかり移動する。

「何話してたん?」

「いやなんかホームラン打ったらなんか奢ってくれるって約束を」

「お、おおそうか」

「打てるって思ってないからそんな賭けしたんだろうな」

「そ、そうだな」

「そこは否定してくれよ、打ったるぞ今日は」

「そうだな任せたぞ。お、1年対3年始まるみたいだな」

試合はやはり3年生が優勢で進み終盤5-2で3年生が勝っている。そろそろアップ行ってくるわと言い残し陽はスタメンなのでアップをしに行った。

俺は特にやることがないので1人で試合を見続け、結果5-3で3年生が勝った。俺はベンチへ向かい他の2年生たちと合流した。

「じゃあ20分後試合開始でいいかな?」

「はい!大丈夫です!」

キャプテンが1年生に声をかける。試合後に休憩20分でまた試合とはかわいそうだ。

でも俺たちはそう言ってはいられない。後輩に負けるなんて屈辱でしかないからだ。

試合前円陣を組んだ。

「まず1勝、1年は疲れもあると思うけどそこは勝負なんで全力で応えましょう!さあいこう!」

「しゃー!」

試合が始まり梅澤が言った通り疲れもあるせいか明らかに1年生の動きが悪い。かわいそうだなと思いつつ序盤に2点先制した。すると梅澤から場合によっては早めに代打送って出てもらうから準備しといてと言われた。

それもそうだ、もう何点かとり優勢に進めば梅澤が出る必要もなく3年生の試合に万全の状態で出ることが出来る。そうなれば次の試合でスタメンはないだろう。

その予想は的中し中盤で5-0、梅澤と俺は守備から交代となった。

野球あるあるで交代した直後に打球がとんでくるというものがある。その通りに初球俺が守っているとこに飛んできた。

昨日のデジャブのように一度弾いたがアウトにできた。

次の回の攻撃は俺からだ。

初球から打ち返し、センターフライ。その後も守備の方では自分のところに飛んでくることはなく、攻撃の方ではヒットは0に終わった。

ダイジェストかよ。

試合結果は6-3で最後に巻き返されたが勝てた。

「1年生お疲れ様。2年生20分休憩でいける?」

「無理でーす。40分ください」

「おっけ、30分ね」

「鬼だー」

その後すぐに梅澤からスタメンは梅澤でいくことと代打で俺を使うことを言われた。

試合前1年生のときと同様に円陣を組む。

「2回やるのもらあれなんで、ここは、、サッサに言ってもらおう!」

「おーー」

2年生全員が少し笑っている。

「はい!じゃあ、今日最後の試合で3年生となんでねこれを勝てば全勝なんでぶっとばしましょう!さあいこう!」

「しゃー!」

多少笑い声も聞こえたが割といい感じになったらしい。

試合が始まると序盤に1点を先制される。2年生もチャンスを作るがあと1本が出ない感じだ。中盤には2点を入れられ3-0。8回の2年生の攻撃でやっと1点が入り9回を抑え最後の攻撃。

1人がフォアボールで塁に出ると2人目がヒット、3人目がアウトになったが1アウト2.3塁、チャンスだ。

「サッサ行ってこーい!」

えぐい場面で出番が来た。流れは2年生チームにあり、これ以上ないチャンスだ。

緊張しているとあのことがよぎる。ホームラン打ったら奢りの約束。ホームランを打てばサヨナラ勝ち。

逆にプレッシャーになる。

そんなド緊張の中打席へ入り、1球目見逃し、2球目を空振りするとすぐに追い込まれてしまう。

(チャンスに弱いんだよないつも)

そんなことを思っていたのが逆に良かったのか次の3球目と4球目ボールを見極め、カウント2-2、開き直って何も考えず振り切った5球目は外野を越えホームランまで後少しのところでフェンス直撃の2塁打となった。

「ナイスすぎる!」「さいこー!」と色々声が聞こえた。試合は3-3で1アウト2塁、次の打者が三振し、2アウト2塁。打席には陽。

絶対返すと言わんばかりにこちらを見ている。

1球目はボール、2球目はストライク、迎えた3球目を打ち内野の間を抜けていく俺は3塁ベースを蹴りホームへ向かう。まさに漫画みたいな展開。

外野から送球が返りギリギリのタイミングで判定は

「アウト!」

「この流れでアウトになるかよ!」

と、キャプテンと梅澤が駆け寄り1.2.3年生から笑いが起こった。俺もそれにつられ今年1かと言うくらい笑った。

その後キャプテンから

「さすがに引き分けだな笑」

と、なり2年生対3年生は3-3の引き分けで終わった。

試合後俺は最後ヘッドスライディングをしたせいで泥だらけになった体を水道で洗っていた。

(あーおもしろかった、ホームラン打てなかったけど)

「ホームラン打てなかったけどおもしろかったねえ」

笑いながらコップなどを洗いに来たのかさゆりが隣に来た。

「まじ今年1笑ったわ」

「そんなに!?」

「そう、そんなに」

俺は笑いながら答えた。

「佐々木!皆でダウンするぞー!」

「はーい!」

俺はキャプテンに呼ばれクールダウンをみんなで行うためグラウンドへ戻った。

「まだ話終わってなかったのに」



「はい、じゃあ今日は皆疲れたと思うのでこれで終わりです。お疲れ様でした。」

「お疲れ様でした」

その後、バスに乗り合宿所へ戻り部屋へ入ると皆疲れたせいか動けずにいる。

「つっかれたー、動けねー。皆風呂どうする?」

「とりあえず動けるやつから行かね?」

「そうしよう、うごけるひとー?」

「、、、」

「いねーのかよ!」

「笑わすな、体いてーよ!」

梅澤と伊勢でプチ漫才が行われ結局痺れを切らし梅澤が10分後でいいから昨日と同じ順番で入ろうと言い、皆死にかけた声で返事をした。



「では、今日のMVPから挨拶です」

と、キャプテンが言い出し、夕食では俺が挨拶することとなった。

「え、えーと2日目お疲れ様でした。2日目は良い形で終われたので最終日明日も頑張りましょう。それではいただきます」

「いただきまーす」

疲れきって食べるだけの者、逆に疲れすぎてテンションが上がり昨日よりも元気な者、今日はどちらかに分類されるがさすがと言わんばかりに後者の方が多い。

昨日と同様に1時間もすると最後の挨拶が始まり今日はキャプテンが締める。

「はい、じゃあいいかな。今日はこれで締めるんでゆっくり疲れをとってください。明日は練習後夕飯食べてから飲みがあるので明日も練習頑張りましょう。では、ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした」

気が抜けたのかさっきまでテンション上がってた連中が多少しぼみながら部屋に戻っていく。

俺は今日も陽を誘い洗濯へ向かった。

「あっという間に2日目も終わったな。今日はかなり疲れたけど」

「そうだな、そうだなんだかんだ持ち上げられたけど陽ナイバッチ」

「え、ああありがとう。でも返せなかったのは俺のせいでもあるからな。持ち上げられたとは言っても同点2ベースなかったら引き分けにもなってなかったからやっぱMVPだよ」

「ありがとうございます」

2人で洗濯機をいじりながら互いに褒めあった。さすが真面目な陽だ、ランナーを返せなかったことを悔いている。あの場面でヒットを打つのは十分すごいことなのに。

なんかそういう真面目な所で言い訳せず他人を思いやれるとこが引き寄せられて仲良くなったんだなと感じた。

「よし、これでおっけー、部屋戻るか」

「うい」

部屋に戻ると皆元気がなく疲れきっていた。

俺も洗濯終わるまで眠ろう。

その後気合いで何とか起き洗濯物を乾燥機へ入れなんとか干すところまで起きていられた。

が、陽と共にほとんどが洗濯もできずそのまま死んだかのように眠っていた。

もちろん陽の分の洗濯物はついでに干したぞ。

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